請負代金請求本訴,建物瑕疵修補等請求反訴事件
判決データ
- 事件番号
- 平成30受2064
- 事件名
- 請負代金請求本訴,建物瑕疵修補等請求反訴事件
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 裁判年月日
- 2020年9月11日
- 裁判種別・結果
- 判決・破棄自判
- 原審裁判所
- 広島高等裁判所
AI概要
【事案の概要】 被上告人(注文者)から自宅建物の増築工事を請負代金750万円で請け負った上告人(請負人)が、追加変更工事を含む請負代金829万1756円の支払等を求めて本訴を提起した。これに対し、被上告人は、増築部分に瑕疵があるとして、瑕疵修補に代わる損害賠償金266万9956円の支払等を求めて反訴を提起した。上告人は、反訴において、本訴請求に係る請負代金債権を自働債権とし、反訴請求に係る瑕疵修補に代わる損害賠償債権を受働債権として相殺の抗弁を主張した。 【争点】 請負代金債権を本訴請求債権とし、瑕疵修補に代わる損害賠償債権を反訴請求債権とする本訴及び反訴が係属中に、本訴原告が反訴において本訴請求債権を自働債権とする相殺の抗弁を主張することが、重複起訴を禁じた民訴法142条の趣旨に反し許されないか。 【判旨】 最高裁は、原審の判断を破棄し、相殺の抗弁の主張は許されると判断した。その理由として、請負代金債権と瑕疵修補に代わる損害賠償債権は、同一の原因関係に基づく金銭債権であり、実質的・経済的には請負代金の減額として等価関係をもたらす機能を有すること、両債権の間で相殺を認めても相手方に不利益を与えず、むしろ相殺による清算的調整を図ることが当事者双方の便宜と公平にかなうことを指摘した。そして、このような両債権の関係に鑑みると、相殺による清算的調整を図るべき要請が強く、本訴と反訴の弁論を分離すると判断の矛盾抵触や審理の重複による訴訟上の不経済が生じるため、弁論の分離は許されないとした。本訴及び反訴が併合して審理判断される限り、相殺の抗弁について判断しても上記のおそれはないから、民訴法142条の趣旨に反しないと結論づけた。その上で、相殺後の請負残代金562万1800円及びこれに対する相殺の意思表示の翌日からの遅延損害金の支払を認容し、反訴請求は棄却した。裁判官全員一致の意見である。