AI概要
【事案の概要】 被告人が、かつて朝鮮学校(A学校)が存在していた場所の近くで、マイクと拡声器を用いて演説を行い、「朝鮮学校」に関する発言(本件発言)をした行為について、A学校を運営する法人に対する名誉毀損罪に問われた事案の控訴審である。原審は、本件発言中の「朝鮮学校」はA学校を指すものであり、被告人もその認識があったと認定した上で、真実性の証明及び真実と信じたことについて相当な理由がないとして有罪とした。弁護人は、「朝鮮学校」は朝鮮学校一般を指すものであり、原判決には事実誤認及び法令適用の誤りがあると主張して控訴した。 【争点】 本件発言中の「朝鮮学校」がA学校を指すものか、それとも朝鮮学校一般を指すものかが主たる争点であった。弁護人は、①被告人が当日の演説中に朝鮮学校一般を指して「朝鮮学校」と述べた発言もあることから、本件発言も朝鮮学校一般を指すものである、②原判決がA学校を指すとしたことは、本件発言の意図が朝鮮学校一般及び朝鮮総聯の糾弾であるとの認定や、公益目的があったとの認定と矛盾する、③名誉毀損が成立する解釈とそうでない解釈が並立する場合は後者を選択すべきであり、表現の自由の観点から発言者に不利な解釈は避けるべきであると主張した。 【判旨(量刑)】 控訴棄却。弁護人の主張をいずれも排斥し、原判決を正当と判断した。①について、弁護人が指摘する発言はいずれも本件発言とは異なる文脈のものであり、同じ「朝鮮学校」でも前後の文脈から意味が異なることは明らかであるとした。②について、被告人は全ての朝鮮学校を朝鮮総聯に支配された一体的なものとみなしていたと認められ、そのような認識を前提とすれば、朝鮮学校一般の糾弾意図があってもA学校を指して発言することは不自然ではないとした。また、被告人が当初予定の場所に代えてA学校跡地近くで演説し、自己の活動成果を誇示する発言もしていたことから、A学校を指して発言したとしても何ら不自然ではないとした。③について、本件発言の「朝鮮学校」がA学校を指すことは明白であり、異なる解釈が並立する場合ではないとして、主張の前提を欠くとした。