談合
判決データ
- 事件番号
- 令和1う1823
- 事件名
- 談合
- 裁判所
- 東京高等裁判所
- 裁判年月日
- 2020年9月16日
- 裁判種別・結果
- 破棄自判
- 裁判官
- 中里智美、河原俊也、友重雅裕
- 原審裁判所
- 東京地方裁判所_立川支部
AI概要
【事案の概要】 東京都青梅市が平成29年4月に執行した「幹32号線改修工事(擁壁設置その2工事)」(予定価格税抜9739万円)の指名競争入札に関する談合被告事件の控訴審判決である。被告人は土木工事業を営む株式会社Aの代表取締役であり、地元建設業協会の会長でもあった。被告人は、本件工事を自社で落札しようと考え、指名業者10社のうち5社の関係者に電話や直接の会話で受注意思を伝え、他社が予定価格以下での入札をしないことを確認した上で、予定価格を僅かに下回る9700万円で入札して落札した。実際に他の入札参加者は予定価格と同額で入札するか、辞退・不参加であった。原審(第一審)は、被告人には本件工事の積極的な受注意思が認められず、協会会長として入札不調を避けるために入札したにすぎないとして、公正な価格を害する目的を否定し、無罪を言い渡していた。これに対し検察官が事実誤認及び法令適用の誤りを主張して控訴した。 【争点】 主な争点は、被告人に刑法96条の6第2項の「公正な価格を害する目的」があったか否かである。具体的には、(1)被告人が本件工事について積極的な受注意思を有していたか、(2)被告人と指名業者5社の関係者との間で談合行為(Aを落札者とする合意)が成立していたかが争われた。弁護側は、被告人は本件工事の受注に消極的であり、協会会長として入札不調による発注者への迷惑を回避する責任感から入札しただけで、公正な価格を害する目的はなかったと主張した。 【判旨(量刑)】 東京高裁は、原判決の事実認定は論理則・経験則に照らして不合理であるとして破棄し、有罪の自判をした。まず、本件工事の採算性について、原判決はA社にとって採算性が低い工事であったと評価したが、高裁は、A社が工事粗利益30%を確保できるかを基準に採算を判断しており、本件工事の入札価格9700万円では30%以上の工事粗利益が確保可能であったことから、採算を見込める工事であったと認定した。次に、A社の経営状況について、平成29年5月期は約2058万円の損失を計上する厳しい状況にあり、本件工事はA社の年間売上目標の3分の1に相当する売上げとなる大型案件であったことから、受注の意味は大きかったと判断した。さらに、被告人の他社関係者に対する「うちにやらせてもらいたい」「行きたいんだけど」等の発言は積極的な受注意思を表すものと評価し、消極的な受注であったとする被告人の供述は信用できないとした。以上を総合し、被告人には積極的な受注意思があり、他社の動向を確認した上で予定価格を僅かに下回る価格で入札したことから、公正な価格を害する目的が認められるとして、罰金100万円を言い渡した。