AI概要
【事案の概要】 暴力団F組の組長である被告人が、同組の幹部や組員である共犯者3名と共謀の上、平成26年7月25日夜、北九州市内のマンション駐車場において、被害者の女性(当時48歳)を刃物で襲撃し、右臀部刺創及び左肩刺創の加療約2週間を要する傷害を負わせたとされる事案である。犯行は、被告人の指示の下、犯行使用車両やいわゆる飛ばしの携帯電話(他人名義の携帯電話)を用意し、犯行場所の下見や被害者の行動確認、防犯カメラの設置状況の確認を行った上で、現場指揮役・運転役・実行役等の役割を分担して遂行された組織的・計画的な犯行であった。実行役の共犯者は、駐車場に隠れて待ち伏せし、戻ってきた被害者に背後から駆け寄って体当たりしながら刃物で突き刺した。凶器の刃物には深く刺さらないよう布粘着テープが巻かれていたが、被害者は現在も右太腿に痺れが残っている。 【争点】 被告人と共犯者3名(B・C・D)との間に共謀が成立するか否かが争点となった。弁護人は、被告人と共犯者らとの間に共謀はなく無罪であると主張した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、共犯者B及びCの各供述の信用性を検討した。Bは、被告人から「女性を刃物でやってくれ。殺す必要はない。けつとかでいい」との指示を受けたこと、一旦中止の後に再度実行の指示を受けたこと、犯行前に報酬として50万円を受け取ったこと、犯行後に傷害事件としての報道にとどまったことで被告人から叱責されたことなどを具体的かつ詳細に供述した。Cも、被告人から被害者襲撃の指示を受け一度は断ったこと、被害者の住所等を教えられたこと、犯行後に被告人へ報告したことを供述した。両名の供述は相互に整合し、犯行約37分後にCの飛ばしの携帯電話から被告人の飛ばしの携帯電話へ11秒間の通話履歴が存在するという客観的証拠によっても裏付けられた。弁護人は、供述が捜査官の誘導による疑いがあると主張したが、裁判所はこれを排斥した。 以上から、裁判所は、被告人が首謀者として本件に関与し、共犯者らとの共謀が成立すると認定した。暴力団組織と無関係の一般人を襲撃する卑劣で反社会的な犯行であること、被告人が首謀者であり刑事責任が他の共犯者らに比して格段に重いこと、真摯な反省の態度が見られないこと、服役前科6犯を含む前科8犯があることなどを考慮し、求刑懲役7年に対し、被告人を懲役6年に処した。