AI概要
【事案の概要】 本件は、商標登録無効審判請求に対する不成立審決の取消訴訟である。原告は、自らが商標権者である引用商標「ふふふ」(平仮名、第35類・飲食料品の小売等役務)と、被告(富山県)が商標権者である本件商標「富富富」(漢字、第30類・米等、第31類・穀物等、第33類・酒類)が類似するとして、本件商標の登録無効を求める審判を請求した。特許庁は両商標は非類似であるとして審判請求不成立の審決をしたため、原告がその取消しを求めて知的財産高等裁判所に出訴した。「富富富」は富山県が開発したブランド米の品種名であり、富山の水・大地・人の三つの「富」を表したものとされている。 【争点】 本件商標「富富富」と引用商標「ふふふ」の類似性(商標法4条1項11号)の有無が争点である。具体的には、(1)外観・称呼・観念の各要素における類否、(2)食品分野において「ふふふ」の語が「おいしさ」や「満足感」の観念を生ずるか、(3)本件商標の使用態様等の取引の実情を類否判断においてどのように考慮すべきか、が問題となった。原告は、両商標はいずれも「フフフ」の称呼を生じ、食品分野では「おいしさ」や「満足感」の観念を共通にするため類似すると主張した。被告は、本件商標は漢字の造語であり特定の観念を生じないこと、外観の相違が顕著であることから非類似であると反論した。 【判旨】 請求棄却。知的財産高等裁判所は、本件商標と引用商標は類似しないと判断し、審決の結論を維持した。 外観について、「富富富」の漢字横書きと「ふふふ」の平仮名横書きは著しく異なると認定した。観念について、本件商標は「三つのとみ(富)」など豊かさや財産に関する漠然とした意味合いを想起させるものであり、「フフフ」と称呼される場合には引用商標と同様の特定の態様の「笑い」という観念を生ずることがあるとした。称呼について、本件商標は音読みの「フフフ」のほか訓読みの「トミトミトミ」等を生じ得るとした。 これらを総合し、外観が著しく異なること、称呼や観念が共通するのは「フフフ」と称呼した限られた場合のみであることから、両商標は類似しないと結論づけた。原告が主張した食品分野での「おいしさ」「満足感」の観念については、「ふふふ」の語が肯定的な意味合いで用いられることが相応にあることは認めつつも、「おいしさ」等の観念が一般的に生ずるとまではいえないとして退けた。