AI概要
【事案の概要】 原告は、「アクターの動きに基づいて生成されるキャラクタオブジェクトのアニメーションを含む動画を配信する動画配信システム」に関する特許出願(特願2018-144682号)について拒絶査定を受け、不服審判を請求したが、特許庁は請求不成立の審決をした。審決は、本願発明が引用発明(甲1:特開2015-184689号、声優の動作に応じたキャラクタ動画をリアルタイム配信するインタラクティブシステム)に、甲2記載の技術(VRアニメ配信における視聴者からのギフトをCGキャラクターに装着させるユーザーギフティング機能)及び周知技術(装着位置情報に基づくオブジェクト表示)を組み合わせることで、当業者が容易に発明できたものであるとして、特許法29条2項により特許を受けることができないと判断した。原告はこの審決の取消しを求めて知的財産高等裁判所に出訴した。 【争点】 1. 相違点4の看過(本願発明は「サポーター又はアクター」が装飾オブジェクトを選択できるのに対し、引用発明はアクターのみが動作を行う点を相違点として認定すべきか) 2. 相違点5の看過(本願発明の「第1表示要求」は未表示の装飾オブジェクトの表示を要求するのに対し、引用発明は既に表示中のキャラクタ動画へのリアクションを要求する点) 3. 相違点1の容易想到性(引用発明に甲2記載のユーザーギフティング機能を適用することの容易性) 4. 相違点3の容易想到性(甲2記載の技術と周知技術の2段階適用の容易性) 5. 相違点2の容易想到性(「装飾オブジェクトの選択」構成への到達可能性) 【判旨】 裁判所は、原告の取消事由をすべて退け、請求を棄却した。相違点4の看過については、本願発明の請求項は「サポーター」が必ず存在する構成に限定しておらず、アクターのみが選択を行う態様も含むため、引用発明と共通する構成であるとした。相違点5の看過については、本願発明も引用発明も、既に表示されているキャラクタのアニメーションに対して新たな動作・状態を要求する点で共通し、実質的に審決認定の相違点1と同一であるとした。相違点1の容易想到性については、引用発明と甲2はいずれもVRアニメ配信ツールに関する技術であり、興趣を増すためにユーザーギフティング機能を追加する動機付けがあること、また処理の遅延による阻害要因も具体的に示されていないとして、容易想到と判断した。相違点3については、CGキャラクターにアクセサリー等を装着表示するには装着位置情報に基づく表示が必然的に伴うから、周知技術の採用は甲2記載の技術と別個の2段階の変更ではないとした。相違点2については、甲2記載の技術でも配信者がギフトの表示態様・位置を判断する過程で装飾オブジェクトの「選択」が行われているとした。