AI概要
【事案の概要】 夜景写真家である原告は、平成24年12月に大阪府の阪南スカイタウン展望緑地から、りんくうゲートタワー方面の夜景を撮影し、著作権表示を付した写真画像を自身のウェブサイト「夜景INFO」に掲載していた。令和元年12月、氏名不詳の投稿者が、サイバーエージェント社のブログサービス「Ameba」上のブログ「Jun☆Story」において、「夜景見るの好き?」と題する記事を投稿し、その中に原告の写真画像を無断で複製・掲載した。当該ブログ記事は、投稿者が和歌山県の夜景が好きだという嗜好を述べるわずか4文6行の短い本文に、大阪府方面の夜景を撮影した原告の写真を組み合わせたものであった。原告は、投稿者に対する著作権侵害に基づく損害賠償請求権を行使するため、電気通信事業者である被告に対し、プロバイダ責任制限法4条1項に基づき、投稿者の氏名・住所等の発信者情報の開示を求めた。 【争点】 (1) 本件写真画像の著作物性:被告は、りんくうゲートタワー等は屋外に恒常的に設置された建造物であり、構図もありふれたものであるから撮影者の個性が現れておらず創作性がないと主張した。 (2) 適法な引用の成否:被告は、写真画像は読者が夜景を想像するための参照目的で掲載され、記事本文と明瞭に区分されており、著作権表示も残されているから、著作権法32条1項の適法な引用に該当すると主張した。 (3) 開示を求める正当な理由の有無:被告は、原告が自ら写真をウェブサイトで公開しており誰でも閲覧可能であるから、損害が発生しておらず開示の正当な理由がないと主張した。 【判旨】 裁判所は、原告の請求を全部認容した。 著作物性について、裁判所は、原告が空気の透明度が高い冬季に天候の良い夜間を選び、約180度の眺望から被写体の組合せ・配置・構図を選択し、レンズ焦点距離200mm・シャッター速度16秒・絞りf/9等の設定を工夫して撮影したものであり、撮影者の個性が表現されていると認定し、著作物に該当すると判断した。展望台からの眺望は広く撮影可能な建造物も多数あるため、表現の選択の幅が限定的とはいえないとして被告の主張を退けた。 引用の成否について、裁判所は、わずか4文6行の記事中で写真画像が相当の部分を占めていること、投稿者の嗜好を記載する中で写真を利用する必要性が乏しいこと、写真は大阪府方面の夜景であり和歌山県の夜景を扱う記事内容と直接的な関連がなく読者が和歌山県の夜景写真と誤認する可能性があること等を指摘し、引用の目的上正当な範囲内でも公正な慣行に合致するものでもないとして、適法な引用に該当しないと判断した。 正当な理由について、裁判所は、原告が画像1点当たり2万円(税別)の使用料を設定しており損害発生が想定し難いとはいえないとして、開示の正当な理由を認めた。