AI概要
【事案の概要】 本件は、いわゆる特殊詐欺の被害者ら8名(又はその相続人)が、指定暴力団Oの傘下組織に所属する被告らに対し損害賠償を求めた事案である。平成26年1月から同年7月までの間、架け子グループと受け子グループが連携して組織的な特殊詐欺を行い、60代から80代の高齢の被害者らに対し、架空の社債購入や名義貸しの違法性を口実に電話で欺罔し、合計約1億9540万円の現金を詐取した。原告らは、架け子グループを統括していた被告B9・B10及び受け子グループを統括していた被告B11に対し共同不法行為に基づく損害賠償を請求するとともに、Oの総裁であったB12の相続人ら、会長であった被告B7及び会長代行であった被告B8に対し、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴対法)31条の2に基づく損害賠償を請求した。 【争点】 主な争点は、(1)傘下組織の構成員が暴対法31条の2にいう「指定暴力団員」に当たるか、(2)B12・被告B7・被告B8が同条の「代表者等」に当たるか、(3)本件特殊詐欺が同条の「威力利用資金獲得行為」に当たるか、(4)過失相殺の当否である。被告側は、傘下組織の構成員は指定暴力団の構成員に含まれない、B12は会長を退いており代表者等に当たらない、特殊詐欺は被害者に暴力団の威力を直接示すものではないから威力利用資金獲得行為に該当しないなどと主張した。 【判旨】 裁判所は、暴対法の「指定暴力団員」には傘下組織の構成員が含まれると解し、被告B9・B10・B11はいずれも指定暴力団員に当たると認定した。B12は公安委員会によりOの代表者として公示され総裁の地位にあったことから「代表する者」に、被告B7及びB8も会長・会長代行等としてOの運営を支配する地位にあったことから「代表者等」に該当すると判断した。威力利用資金獲得行為については、被害者に対して威力が示されることは不要であり、資金獲得行為の実行過程で暴力団の威力が何らかの形で利用されていれば足りるとの解釈を示した上で、本件では階層構造における絶対的服従関係を背景に構成員に詐欺行為を従事させ、暴力団員であることを認識していた外部関係者に対しても威力が利用されていたと認定し、該当性を肯定した。過失相殺については、組織的な故意による不法行為の違法性の高さに鑑み、被害者に過失があったとしても損害額を減じるのは相当でないと判断した。以上により、原告らの請求を概ね認容し、精神的損害の請求のみ棄却した。