傷害,強盗,窃盗被告事件
判決データ
- 事件番号
- 令和1あ1751
- 事件名
- 傷害,強盗,窃盗被告事件
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 裁判年月日
- 2020年9月30日
- 裁判種別・結果
- 決定・棄却
- 裁判官
- 菅野博之、三浦守、草野耕一
- 原審裁判所
- 東京高等裁判所
AI概要
【事案の概要】 Aら2名が被害者のいるマンションの部屋に押し入り、カッターナイフで顔を切り付けるなど激しい暴行を加えていたところ、約5分後に被告人が同部屋に踏み込み、血まみれの被害者を目にしてAらに加勢しようと考え、包丁を取り出して被害者の顔面に向けた。この時点で被告人とAらとの間に暗黙の共謀が成立した。その後、被告人とAは、脱出を試みた被害者を取り押さえて連れ戻し、背部や腹部を蹴ったり踏み付けたりした。Aらはさらに、たばこの火を耳に押し付け、革靴やガラス製灰皿で頭部を殴り、はさみで指を切り付け、千枚通しで大腿部を刺すなどの苛烈な暴行を加えた。被害者は右第六肋骨骨折等の傷害を負ったが、同骨折等が被告人の共謀加担前の暴行によるものか加担後の暴行によるものかは不明であった。 【争点】 先行者の暴行に途中から後行者が共謀の上加担した場合において、傷害が共謀加担前の暴行によるものか加担後の共同暴行によるものか不明なときに、同時傷害の特例(刑法207条)を適用して後行者に当該傷害の責任を問うことができるか。弁護側は、先行者が当該傷害について責任を負う以上、後行者に同条を適用することはできないと主張した。 【判旨(量刑)】 上告棄却。刑法207条適用の前提となる事実関係(各暴行が傷害を生じさせ得る危険性を有すること及び同一の機会に行われたこと)が証明された場合、途中から行為者間に共謀が成立していたとしても、同条の適用は妨げられないと判示した。共謀関係が認められない場合には同条が適用されるのに、共謀が認められた場合に適用できないとすれば不合理であり、均衡を失するとした。ただし、同条の適用により後行者に傷害の責任を問い得るのは、後行者の加えた暴行が当該傷害を生じさせ得る危険性を有する場合に限られるとの限定を付した。本件では、被告人の暴行は右第六肋骨骨折を生じさせ得る危険性があったため同骨折について責任を免れないが、上口唇切創については危険性がなく同条適用の前提を欠くとして、原判決の一部に法令違反を認めつつも、判決に影響を及ぼさないとして上告を棄却した。