行政文書不開示決定処分取消請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告らは、情報公開法に基づき、内閣官房副長官補に対し、東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会(政府事故調)が作成した聴取結果書の開示を請求した。政府事故調は、2011年の福島第一原発事故を受け閣議決定により設置された組織であり、事故関係者ら合計772名に対するヒアリングを実施し、計793通・7480頁に及ぶ聴取結果書を作成していた。政府事故調は、責任追及を目的とした調査は行わないこと、ヒアリングは原則非公開とし、被聴取者が非開示を希望する部分は開示しないことなどの方針(ヒアリング方針)を定めていた。内閣官房副長官補は聴取結果書の全部または一部を不開示とする各決定をし、その後複数回の変更決定で一部を追加開示したものの、原告らは残る不開示部分の取消しと開示決定の義務付けを求めて提訴した。 【争点】 主な争点は、(1)国を当事者とする訴訟の対応方針に関する情報(争訟事務情報)が情報公開法5条6号ロ等の不開示情報に該当するか、(2)日米間の外交に関する情報(外交情報)が同条3号等の不開示情報に該当するか、(3)被聴取者が不開示を希望する情報(不開示希望情報)が同条5号・6号柱書きの不開示情報に該当するか、(4)原告Aら各決定の理由付記が行政手続法8条に違反するか、の4点である。原告らは、政府事故調の開催趣旨が国民に開かれた調査にあったこと、被聴取者の属性に応じて開示が前提であったこと、被告の不開示判断が恣意的であること等を主張した。 【判旨】 裁判所は、原告らの請求をいずれも棄却し、義務付けの訴えを却下した。争点(1)について、争訟事務情報は訴訟対応方針の検討・協議のために作成された資料の内容であり、開示されれば訴訟の相手方がこれを利用でき、国の訴訟当事者としての地位を不当に害するおそれがあるとして、情報公開法5条6号ロの不開示情報に該当すると判断した。争点(2)について、日米間の非公開の意見交換や他国に対する評価等に関する外交情報を開示すれば、他国との信頼関係が損なわれるおそれがあるとし、行政庁の判断に裁量権の逸脱・濫用はないとして、同条3号及び6号柱書きの不開示情報に該当すると認めた。争点(3)について、政府事故調が強制調査権限を持たず関係者の任意協力に依拠していたこと、ヒアリング方針が被聴取者の属性を問わず適用されていたこと等を踏まえ、被聴取者の意思に反して聴取結果書を開示すれば、将来の重大事故調査における関係者の協力確保に支障を及ぼすおそれがあるとして、同条6号柱書き及び5号の不開示情報に該当すると判断した。争点(4)については、不開示理由の記載から処分の根拠を一応了知し得るとして、理由付記の違法はないとした。