AI概要
【事案の概要】 本件は、「医薬品相互作用チェックシステム」に関する特許(特許第5253605号)について、原告(株式会社アイシーエム)が特許庁に対して行った無効審判請求が不成立とされたため、その審決の取消しを求めた訴訟である。本件特許は、病院や調剤薬局で使用される医薬品相互作用チェックシステムに関するもので、一の医薬品から見た他の一の医薬品の場合と、その逆の場合の2通りの主従関係で相互作用が発生する組み合わせを相互作用マスタに個別に格納し、新規処方データの各医薬品についてマトリックス形式でチェック結果を表示することを特徴とする発明である。被告ら(株式会社湯山製作所及び株式会社システムヨシイ)が特許権者であり、原告は主引用文献である甲1(特開平11-195078号公報)に基づく進歩性欠如を主張して無効審判を請求したが、特許庁は請求不成立の審決をした。 【争点】 主な争点は、本件発明の要旨認定の当否、具体的には特許請求の範囲に記載された「一の医薬品」「他の一の医薬品」の解釈と、それに基づく甲1発明との一致点・相違点の認定及び進歩性(容易想到性)の判断の誤りの有無である。原告は、本件審決が「医薬品」の文言を薬効・有効成分・投与経路を特定できるレベルのデータに限定解釈したことはリパーゼ事件判決(最判平成3年3月8日)に反する違法な要旨認定であると主張した。また、本件発明9(請求項9)及び本件発明2(請求項2)についても同様の容易想到性の判断の誤りが争われた。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、特許請求の範囲に記載された発明特定事項の意味内容や技術的意義を明らかにするために技術常識を斟酌することはリパーゼ事件判決も禁じていないとした上で、本件発明1の「相互作用マスタ」に登録される「一の医薬品」と「他の一の医薬品」は、販売名(商品名)又は一般名、薬価基準収載用医薬品コードであれば薬効・投与経路・有効成分(7桁のコード)以下で特定されるものなど、具体的に当該医薬品の薬効・投与経路及び有効成分が特定できるレベルのものを意味すると認定した。そして、甲1発明の医薬品相互作用チェックテーブルは、一般名コード・薬効分類コード・BOXコードの各コードでそれぞれ検索を行う構成であり、薬効のみの場合も含みうるものであるから、本件発明1との間には相違点1及び2が認められるとし、本件審決の一致点・相違点の認定及び容易想到性の判断に誤りはないと判断した。本件発明9及び本件発明2についても同様に取消事由は理由がないとした。