AI概要
【事案の概要】 被告人は、被害者の母と婚姻して養子縁組をした9歳の男児(被害者)と同居生活を送っていた。令和元年9月17日午後3時55分頃から午後5時45分頃までの間に、さいたま市内の自宅において、被害者の頸部を背後から電源コード(長さ約317センチメートル)で絞め付け、頸部圧迫による窒息により死亡させた(殺人)。さらに、殺害の発覚を免れるため、被害者の遺体を同じ集合住宅内の電気水道設備室に運び込み、リュックサックやビニール袋を乗せた上で扉を閉めて隠匿した(死体遺棄)。被告人は「無意識に殺害した」と供述し、具体的な動機は判然としないが、被害者による帽子の紛失や火遊びなどの問題行動に苦慮していたところ、被害者の言動に触発されて衝動的に殺害を決意した可能性が指摘されている。なお、養子縁組から犯行まで僅か半年程度であった。 【判旨(量刑)】 裁判所は、犯行態様について、僅か9歳の被害者に対し背後から電源コードで頸部を分単位の時間にわたり絞め続けたものであり、確実に殺害する態様で強固な殺意に基づくと認定した。被害者の生命を奪った結果は重大であり、遺族が峻烈な処罰感情を抱くのは当然であるとした。動機・経緯については、被害者が未だ9歳であること、被告人が主張する被害者の問題行動もさほど深刻なものとはいえないこと、被告人は養父として幼い被害者を養育すべき立場にあったことなどから、被害者に何らの落ち度もなく、被告人の意思決定はあまりに短絡的で経緯に酌量の余地はないと判断した。死体遺棄も殺害発覚を免れるための身勝手で悪質な犯行であるとした。同種事案(ひも・ロープ類で親族被害者1名を殺害した事案)の量刑傾向と比較し、中心的な分布の幅よりも相当程度重い部類に属するとした。他方、被告人が同居生活において家事を分担するなどの努力をしていたこと、公訴事実を認めて被害者らに謝罪していること、被告人の母が被害者の母に210万円を支払ったこと、前科がないことなどの一般情状を考慮し、検察官の求刑懲役20年、弁護人の科刑意見懲役8年に対し、被告人を懲役16年に処した。