地位確認等請求事件
判決データ
- 事件番号
- 令和1受1055
- 事件名
- 地位確認等請求事件
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 裁判年月日
- 2020年10月13日
- 裁判種別・結果
- 判決・その他
- 裁判官
- 宮崎裕子、戸倉三郎、林景一、宇賀克也、林道晴
- 原審裁判所
- 大阪高等裁判所
AI概要
【事案の概要】 大阪医科大学等を運営する学校法人(第1審被告)において、アルバイト職員として薬理学教室の秘書業務に従事していた第1審原告が、無期労働契約を締結している正職員との間で、賞与及び私傷病による欠勤中の賃金等に相違があったことが労働契約法20条に違反するとして、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。第1審原告は平成25年1月にアルバイト職員として採用され、時給制で勤務していたが、正職員には通年で基本給の約4.6か月分の賞与が支給され、私傷病欠勤時には6か月間の給与全額及びその後の休職給が支給されていた。一方、アルバイト職員にはいずれも支給されていなかった。第1審原告の年間支給額は新規採用正職員の基本給・賞与合計額の約55%にとどまっていた。第1審原告は平成27年3月に適応障害と診断され、以後出勤しないまま平成28年3月に退職した。原審(大阪高裁)は賞与の60%を下回る部分及び欠勤中の賃金の一部について不合理な相違と認め、損害賠償請求を一部認容した。 【争点】 正職員とアルバイト職員との間における(1)賞与の不支給、(2)私傷病による欠勤中の賃金の不支給が、労働契約法20条にいう「不合理と認められるもの」に当たるか。 【判旨】 最高裁は、原審の判断をいずれも破棄し、賞与及び私傷病欠勤中の賃金に関する請求をいずれも棄却した。賞与について、正職員に対する賞与は、算定期間における労務の対価の後払いや一律の功労報償、将来の労働意欲の向上等の趣旨を含むものであるとした上で、正職員としての職務を遂行し得る人材の確保やその定着を図るなどの目的から支給されるものと認定した。そして、教室事務員である正職員とアルバイト職員である第1審原告との間には、職務の内容及び配置の変更の範囲に一定の相違があったこと、アルバイト職員から契約職員・正職員への登用制度が設けられていたこと等を考慮し、賞与を支給しないことは不合理とまでは評価できないと判断した。私傷病欠勤中の賃金についても、正職員の雇用を維持し確保することを前提とした制度であるとし、アルバイト職員は長期雇用を前提とした勤務を予定しているとはいい難いこと、第1審原告の在籍期間は3年余りにとどまること等から、不支給は不合理とはいえないとした。結局、夏期特別有給休暇に関する損害金5万5110円のみが認容された。裁判官全員一致の意見である。