地位確認等請求事件
判決データ
- 事件番号
- 令和1受777
- 事件名
- 地位確認等請求事件
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 裁判年月日
- 2020年10月15日
- 裁判種別・結果
- 判決・その他
- 裁判官
- 山口厚、池上政幸、小池裕、木澤克之、深山卓也
- 原審裁判所
- 東京高等裁判所
AI概要
【事案の概要】 日本郵便株式会社(第1審被告)において、有期労働契約を締結して勤務する時給制契約社員である第1審原告らが、無期労働契約を締結している正社員との間で、年末年始勤務手当、病気休暇、夏期休暇及び冬期休暇に相違があったことが労働契約法20条に違反すると主張し、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。第1審被告は、郵便局を設置して郵便業務等を営む株式会社であり、第1審原告らは郵便外務事務(配達等)又は郵便内務事務(窓口業務等)に従事する時給制契約社員で、契約期間6か月以内の有期労働契約の更新を繰り返して勤務していた。正社員には年末年始勤務手当(12月29日〜1月3日の勤務に対し1日4000〜5000円)、有給の病気休暇(少なくとも90日間)、夏期冬期休暇(各3日の有給休暇)が与えられていたのに対し、時給制契約社員には年末年始勤務手当は支給されず、病気休暇は年10日の無給休暇にとどまり、夏期冬期休暇は与えられていなかった。 【争点】 正社員と時給制契約社員との間における、(1)年末年始勤務手当の支給の有無、(2)病気休暇を有給とするか無給とするかの相違、(3)夏期冬期休暇の付与の有無の各労働条件の相違が、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たるか。また、夏期冬期休暇を与えられなかったことによる損害の有無。 【判旨】 最高裁は、まず年末年始勤務手当について、同手当は最繁忙期において実際に勤務したことに対する対価としての性質を有し、業務の内容や難度に関わらず勤務した事実自体を支給要件とするものであるから、その趣旨は時給制契約社員にも妥当するとして、正社員と時給制契約社員の間の職務内容等に相応の相違があることを考慮してもなお、同手当に係る労働条件の相違は不合理であると判断した。次に病気休暇について、有給の病気休暇は継続的な雇用を確保する目的によるものであるところ、時給制契約社員も有期労働契約の更新を繰り返して勤務しており相応に継続的な勤務が見込まれるから、日数の相違はともかく、有給か無給かの相違は不合理であると判断した。さらに夏期冬期休暇に係る損害について、原審が無給休暇の取得等の主張立証がないとして損害の発生を否定したのに対し、最高裁は、夏期冬期休暇を与えられなかったことにより本来する必要のなかった勤務をせざるを得なかったのであるから財産的損害を受けたといえ、無給休暇の取得の有無は損害の有無を左右しないとして、原判決のこの部分を破棄し東京高裁に差し戻した。裁判官全員一致の意見。