公務執行妨害,傷害,犯人蔵匿教唆,無免許過失運転致傷,道路交通法違反
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人は、平成30年7月、大阪府和泉市内の交差点において、公安委員会の運転免許を受けずに普通乗用自動車を運転し、横断歩道を自転車で横断してきた当時8歳の被害者に自車を衝突させ、加療約3日間を要する上腹部打撲の傷害を負わせた(無免許過失運転致傷)。被告人は無免許運転の発覚を恐れ、被害者の救護や警察への報告をせずに逃走した(ひき逃げ)。その後、被告人は同事件で起訴・保釈されたが、第2回・第3回公判期日に出頭せず、保釈取消決定がなされた。検察官の要請で令和元年10月30日に大阪地方検察庁岸和田支部に出頭したところ、収容を告げられると、荷物を取りに行きたいと言って建物を出て、路上に停車していた共犯者Bの運転する自動車の助手席に乗り込んだ。Bは自動車を急発進させ、前方にいた検察事務官2名に順次衝突させて逃走した(公務執行妨害・傷害)。さらに被告人は、逮捕を免れるため、知人に電話で自己を匿うよう依頼し、知人の長男方に2日間にわたり潜伏した(犯人蔵匿教唆)。 【争点】 判示第3の公務執行妨害・傷害の事実について、被告人とBとの間に共謀が成立するかが争われた。弁護人は、被告人はBに車の発進を求めておらず、Bが自身の無免許運転の発覚を恐れて独断で急発進したものであり、共謀は存在しないと主張した。被告人も、パニック状態で「助けて」と言っただけであり、逃走を求める発言はしていないと供述した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、検察事務官2名及びBの各証言を総合し、被告人が助手席に乗り込む際に「逃げて」「車出して」「行け」などと発進を求める発言をした事実を認定した。各証人の証言は基本的部分で符合し、事実経過に照らしても自然な内容であるとして信用性を認めた。被告人の「助けて」としか言っていないとの供述については、収容を告げられた後の行動経緯に照らして不自然であるとし、仮に「助けて」と言ったとしても、その状況下では自動車の発進を意図するものと評価した。また、検察事務官らが自動車の周囲にいた状況を被告人及びBが認識していた以上、発進すれば衝突の可能性を認識していたと認め、共謀の成立を肯定した。量刑については、自動車を急発進させて検察事務官2名に衝突させた行為の危険性、保釈取消による収容を妨害して逃亡し刑事司法作用を妨げた悪質性、累犯前科の刑期終了後2年以内の再犯であることを重視しつつ、被害者の父母との15万円の示談成立、一部の事実についての反省、叔父による監督の約束等を考慮し、求刑懲役4年6月に対し、懲役2年6月(未決勾留300日算入)を言い渡した。