AI概要
【事案の概要】 被告人は、税関長の許可を受けずにうなぎの稚魚(シラスウナギ)を日本国外へ密輸出しようとした関税法違反の事案である。被告人は、氏名不詳の共犯者(共犯者U)の指示及び資金供給の下、密輸出元として中心的な役割を担っていた。具体的には、共犯者Uから送られてきたうなぎの稚魚から輸出に適したものを選別し、知人らを運搬役として確保した上で、うなぎの稚魚を隠匿したスーツケースと報酬を渡して関西国際空港から送り出す手はずを整えていた。犯行は令和2年1月に2回にわたって行われ、第1回(1月29日)は約24.65kg、第2回(1月31日)は約33.46kg、合計約58kgのうなぎの稚魚をスーツケースに隠匿して香港行きの航空便で輸出しようとしたが、いずれも大阪税関関西空港税関支署職員に発見され、未遂に終わった。被告人は少なくとも約3年前から大阪に拠点を移し、水槽を整備するなどして、シーズンごとにうなぎの稚魚の密輸出を継続的に行っており、本件は職業的犯行と評価された。また、被告人は平成18年と平成20年にも同様の密輸出未遂で通告処分を受け、罰金相当額を支払った前歴があった。 【判旨(量刑)】 裁判所は、輸出しようとしたうなぎの稚魚の量が多く、関税法の目的である税関手続の適正な処理の実現に照らし犯情は悪質であると認定した。被告人が密輸出元として中心的かつ不可欠の役割を果たしたこと、職業的犯行であること、過去に2度の通告処分歴があること、第1回の犯行が摘発されたにもかかわらず第2回の犯行に及んだこと、さらに第2回の摘発後もエックス線検査で発覚しない方法を研究するなど密輸出の継続を企図していたことから、法規範を軽視する構えが著しく、刑事責任は重いとした。一方で、同種ないし近時の懲役前科がないことを考慮すると、いきなり実刑に処するのは重すぎるとし、被告人が反省の情を示していること等も踏まえ、懲役2年及び罰金200万円(求刑どおり)とした上で、懲役刑については5年間の執行猶予を付した。