著作権侵害差止等請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和1ネ10071
- 事件名
- 著作権侵害差止等請求控訴事件
- 裁判所
- 知的財産高等裁判所
- 裁判年月日
- 2020年10月28日
- 裁判官
- 大鷹一郎、本吉弘行、中村恭
- 原審裁判所
- 大阪地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 控訴人(映像制作業者)は、被控訴人有限会社ピー・エム・エー(以下「被控訴人会社」)の委託を受けて、株式投資スクールの広告・集客用ウェブサイトを代金324万円で制作した。制作業務委託契約書及び注文書には、成果物の著作権は制作者に帰属する旨の条項が設けられていた。ところが、平成29年12月、レンタルサーバーの更新費用未払により同サーバーが凍結され、ウェブサイトが閲覧不能となった。被控訴人会社が控訴人に復旧を求めたところ、控訴人は復旧不能と伝え、新規制作を432万円で提案した。被控訴人会社はこれに応じず、別の制作会社(マークス社)に依頼し、旧サイトのデータをコピーして新たなウェブサイト(被告ウェブサイト)を制作・公開した。控訴人は、被控訴人ら5名に対し、著作権侵害等に基づく差止め及び損害賠償として6500万円を請求した。原審(大阪地裁)は控訴人の請求を全て棄却し、控訴人が知的財産高等裁判所に控訴した。 【争点】 主な争点は、(1)ウェブサイトのプログラム・データベース・表示等の著作物性、(2)控訴人が撮影した写真画像18枚の著作物性と著作権の帰属、(3)被控訴人らによる著作権・著作者人格権侵害の有無、(4)差止めの必要性、(5)損害額、(6)権利濫用の成否である。 【判旨】 裁判所は、まず、ウェブサイトのプログラムについて、CSS・PHPファイル中の著作者名記述やパスワード、変数命名、フォント指定等はいずれも電子計算機に対する指令の組合せにおける創意工夫とは認められず、プログラムの著作物に該当しないと判断した。データベースについても、テーブル構造や正規化に創作性は認められないとした。ウェブページの表示等(タイトル、URL、メタ情報等)もありふれた表現であるとして著作物性を否定した。 一方、控訴人が撮影した写真画像18枚のうち11枚については、撮影の構図、アングル、ピントのぼかし方等に撮影者の個性が表れているとして著作物性を肯定し、その著作権は、契約書の「成果物の著作権は制作者に帰属する」との条項に基づき控訴人に帰属すると認定した。被控訴人会社による被告ウェブサイト等への掲載は、これら写真の複製権・公衆送信権及び氏名表示権の侵害に当たると判断した。 もっとも、差止請求については、被告ウェブサイトのサーバーはマークス社の代表者が管理しており、被控訴人らは閉鎖を要請したが拒否されている状況にあることから、差止めの必要性を否定した。 損害額については、著作権(財産権)侵害の慰謝料は特段の事情がないとして認めず、著作者人格権(氏名表示権)侵害の慰謝料として1サイト1枚当たり1万円、合計15万円のみを認容した。調査費用等の請求や本件保守業務委託契約に基づく報酬・違約金の請求はいずれも排斥した。権利濫用の抗弁についても、写真画像はサイトの視覚的効果を高めるデザインにすぎず、賠償額も過大でないとして退けた。 以上により、被控訴人会社、同Y1及び同Y2に対する各自15万円の損害賠償請求のみを認容し、その余の請求及び本件控訴を棄却した。