過失運転致傷アルコール等影響発覚免脱,道路交通法違反被告事件
判決データ
- 事件番号
- 令和1わ223
- 事件名
- 過失運転致傷アルコール等影響発覚免脱,道路交通法違反被告事件
- 裁判所
- 奈良地方裁判所
- 裁判年月日
- 2020年10月29日
AI概要
【事案の概要】 被告人は、友人らと前夜から夜通し飲酒した後、仮眠を取ったものの、アルコールが残った状態で普通乗用自動車を運転した。令和元年9月29日午前9時54分頃、奈良県葛城市内の県道を時速約60キロメートルで走行中、沿道の駐車場で開催されていたクラシックカーイベントに気を取られて脇見運転をし、前方で駐車場に入ろうと減速していたA運転の軽自動車に追突した。追突の衝撃を受けたAはパニック状態に陥り、無意識にアクセルを踏んでしまったため、A車は駐車場内に暴走して進入し、イベントに来場していた4歳の幼児や85歳の高齢者を含む5名に衝突・接触するなどして、A本人を含む計6名に傷害を負わせた。事故時の推定呼気アルコール濃度は1リットルにつき0.53ミリグラムと極めて高い数値であった。被告人は事故後、飲酒運転の発覚を恐れて現場から逃走し、約2時間にわたり自宅でアルコールが抜けるのを待つなど、救護義務・報告義務を怠った上、アルコールの影響の発覚を免れる行為に及んだ。 【争点】 弁護人は、被告人の追突行為と、A車が暴走して負傷した歩行者ら(A以外の5名)の傷害結果との間に因果関係がないと主張した。弁護人の論旨は、Aが追突による精神的パニックから逃れるために故意にアクセルを踏んで急加速させたものであり、Aの故意の運転行為が介在しているから因果関係が断絶するというものであった。 【判旨(量刑)】 裁判所は、Aの公判供述について、追突の衝撃でパニックに陥りブレーキを踏むことも思い付かなかったとする内容が具体的かつ詳細で信用できると判断した。そして、駐車場に向けて低速走行中のA車に時速約60キロメートルで追突すれば、相当強い衝撃が生じてAに非常に大きな心理的動揺を与えることは容易に想像でき、無意識にアクセルを踏んで暴走させ、駐車場内の人に傷害を負わせる事態も常識的に十分想定できるとして、被告人の運転行為とA以外の被害者らの傷害結果との間の因果関係を肯定した。 量刑については、飲酒の程度の高さ、基本的注意義務の懈怠、幼児・高齢者を含む6名への加害、身勝手な逃走行為、過去の交通違反歴などから刑事責任は軽視できないとしつつ、保険による損害補填の見込み、被害者への謝罪と反省の態度、父親の監督誓約、前科がないこと、報道やスポンサー契約打ち切りによる社会的制裁、後遺症が残るほどの重篤な結果が生じていないことなどを総合考慮し、懲役2年6月・執行猶予4年(求刑懲役2年6月)を言い渡した。