AI概要
【事案の概要】 原告は、自己所有の土地(本件土地3)に建物を建築するにあたり、隣接する被告ら所有の土地(本件土地1・2)に公共汚水・雨水ます及び給排水装置(上下水道管)を設置する必要が生じた。原告は、下水道法11条1項・3項及び隣地使用の権利に基づき、被告ら(個人3名及び法人2社)に対し、給排水設備の設置並びにそのための掘削・土地使用の承諾を求めて提訴した。被告のうち1名は口頭弁論期日に出頭せず答弁書も提出せず、法人1社は公示送達による呼出しを受けたが出頭しなかった。他の被告らは原告の土地所有や隣接関係等の基本的事実は認めつつも、設備設置の必要性について争う姿勢を見せた。 【争点】 主な争点は、①他人の土地を使用しなければ上下水道の通水が困難であるか(必要性の要件)、②上水道の給水設備について下水道法11条の類推適用が認められるか、③設備の設置場所・方法が最も損害の少ないものであるかの3点である。特に②については、上水道の給水設備設置に関する明文規定が存在しないことが問題となった。 【判旨】 裁判所は原告の請求をいずれも認容した。まず下水道法11条1項について、同規定は下水道の整備による公衆衛生の向上等の目的達成のため、建築物の所有者等に排水設備の設置義務を課した同法10条1項を受けて、他人の土地を利用した排水設備の設置を認めたものであり、民法220条・221条の特則であると解した。次に、上水道の給水設備については明文規定を欠くものの、民法220条・221条が上下水を問わず通水の必要に応じて他人の土地を利用し得る趣旨を含んでいること、上水道の給水が衛生的で快適な居住環境の確保に不可欠な利益であること、水道法1条の目的(公衆衛生の向上)が下水道法1条の目的と同一であることを理由に、下水道法11条1項及び3項を類推適用して、他人の土地への給水設備の設置及び土地の使用が認められると判示した。そのうえで、本件土地の位置関係に照らし、本件土地1・2に給排水設備を設置しなければ通水し得ないと認定し、各被告との関係で設置の必要性等の要件充足を認めた。なお、訴訟費用については事案に鑑み民事訴訟法62条を適用して原告の負担とした。