AI概要
【事案の概要】 本件は、「LED電灯装置」に関する2件の特許権(特許第5317848号・特許第5677520号)を有する原告が、被告の製造販売するLED電球10製品が上記各特許の技術的範囲に属すると主張し、不法行為に基づく損害賠償として1100万円(特許法102条3項による損害額合計約1億5887万円の一部1000万円と弁護士・弁理士費用100万円)及び遅延損害金の支払を求めた事案である。 原告の各特許発明は、LED電球においてフィラメント型電球のようにカバー部材の内部に光源が見えないという違和感を解消するため、カバー部材の内側表面を凹曲面状の反射面とし、LED光源からの光を反射させてカバー部材の内部空間に光源の虚像(疑似光源)を結像させることで、外側から見たときにカバー部材の内側空間に光源があるように見えるようにしたLED電灯装置に関するものである。 被告は10種類のLED電球を輸入販売しており、各被告製品と原告の各特許発明との間では、構成要件の充足性のほか、多数の無効理由が争点となった。 【争点】 主な争点は、(1)被告製品が本件発明1の構成要件A「複数のLEDを面状に配置したLED光源」等を充足するか、(2)構成要件F・F'の「光の一部がカバー部材を透過しカバー部材の外側に発散する」の充足性、(3)構成要件Gの「カバー部材の下部位置と同じ位置かまたはそれよりも低い位置」の充足性、(4)構成要件G'・I'の「赤道位置」の充足性、(5)サポート要件違反(特許法36条6項1号)、(6)明確性要件違反(同項2号)、(7)東芝製品による公然実施(特許法29条1項2号)に基づく新規性欠如、(8)拡大先願要件違反(特許法29条の2)、(9)分割出願要件違反である。 【判旨】 裁判所は、東芝ライテック株式会社が本件特許の出願日(平成21年6月25日)より前の同年3月18日に発売したLED電球「一般電球形4.3W」(東芝製品)との対比を行い、本件各発明はいずれも公然実施された発明に該当すると判断した。 まず構成要件Aの「複数のLEDを面状に配置」について、裁判所は、複数のLEDが一定の平面的広がりをもって配置されていれば足り、LED間に隙間が存しないものに限定されないと解釈し、東芝製品の4個のLEDチップがLED基板上に配置された構成はこれに該当するとした。 次に「焦点」「結像」に関する構成要件について、裁判所は、凹面鏡の光学的原理に基づき、東芝製品のグローブ内側表面が凹面鏡として機能し、LEDチップの光の像がグローブ半球体部分の底面より少し上方で結像することを実験結果等から認定した。原告はカバー部材の内側表面が光を十分に反射しないと主張したが、裁判所は退けた。 以上から、本件各発明はいずれも東芝製品により公然実施された発明であり、特許法29条1項2号に反して特許されたものとして、同法123条1項2号により無効にされるべきものと認められ、特許法104条の3第1項により原告は本件特許権を行使できないとして、原告の請求をいずれも棄却した。