免責条項等使用差止請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和2ネ1093
- 事件名
- 免責条項等使用差止請求控訴事件
- 裁判所
- 東京高等裁判所
- 裁判年月日
- 2020年11月5日
- 裁判種別・結果
- 棄却
- 裁判官
- 白石史子、浅井憲、湯川克彦
- 原審裁判所
- さいたま地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 被控訴人(原告)は消費者契約法13条1項に基づく認定を受けた適格消費者団体であり、控訴人(被告)はインターネットポータルサイト「モバゲー」を運営する株式会社である。被控訴人は、控訴人がモバゲーの利用規約において消費者契約法8条1項に該当する不当条項を使用しているとして、同法12条3項に基づき、当該条項を含む契約の申込み又は承諾の意思表示の差止めを求めた。問題となった規約は、①7条1項c号・e号(「当社が判断した場合」に会員資格を取り消せるとする条項)と、②7条3項(当社の措置により会員に生じた損害について一切賠償しないとする免責条項)、及び③12条4項(損害賠償の範囲を制限する条項)である。原審は①に係る請求を認容し②に係る請求を棄却したため、控訴人が①について控訴し、被控訴人が②について附帯控訴した。なお、控訴人は控訴後に規約を改正し、「当社が判断した場合」を「当社が合理的に判断した場合」に変更した。 【争点】 主な争点は、(1)改正後の規約7条1項c号・e号の「当社が合理的に判断した場合」という文言が消費者契約法の下で許容されるか、(2)規約7条3項の免責条項が同法8条1項1号・3号に該当する不当条項に当たるか、(3)規約12条4項の損害賠償制限条項の有効性である。控訴人は、「合理的に判断した」の文言により意味内容は明確であり、7条3項は損害賠償責任を負わない場合の確認的規定にすぎないと主張した。また、他の企業にも同様の規約が存在すること等を根拠に不当条項には当たらないと主張した。 【判旨】 東京高裁は原判決を維持し、控訴及び附帯控訴をいずれも棄却した。まず、規約7条1項c号・e号について、「合理的に判断した」と改正しても、控訴人が判断にあたり極めて広い裁量を有し、客観的に合理性を欠く会員資格取消措置等を「合理的な判断」として行う可能性が十分にあると指摘した。消費者にとって当該措置が合理的判断に基づかないか否かを明確に判断することは著しく困難であるとした。事業者は消費者契約の条項について解釈に疑義が生じない明確なものとすべき努力義務(法3条1項1号)を負っており、不当条項性を否定する方向で文言を補い限定解釈することは同項の趣旨に照らし極力控えるのが相当であるとした。7条3項については、事業者と消費者との間の情報量・交渉力の格差を踏まえ、事業者の客観的に誤った判断が契約履行の場面で是正されるのが通常とは考えがたく、確認的規定と解することは困難であるとして、免責条項に該当すると判断した。