不当利得返還等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告は、平成25年10月頃、子供写真館「マシェリスタジオ」を開店した。同スタジオは、異なる仕様の複数の部屋で撮影した写真を全て納品するという手法で人気を集めていた。被告は、原告が経営するマシェリスタジオの従業員として稼働していたが、平成26年4月頃に退職し、自ら経営する雑貨店「コフレホーム」に写真館を併設した。被告は、平成28年10月頃、コフレホームのホームページに「2013年マシェリスタジオをA氏と立ち上げる」との記載(本件記載)を掲載した。原告は、この記載が虚偽であり、マシェリスタジオの開設者・創業者としての原告の信用が毀損されたと主張して、不法行為に基づく損害賠償として500万円及び遅延損害金の支払を求めた。なお、被告は令和元年8月頃に本件記載を削除しており、マシェリスタジオも現在は閉鎖されている。 【争点】 主な争点は、①被告が本件記載により原告の信用を毀損したか、②損害の発生及び額であった。原告は、被告及びカメラマンAは原告の被用者にすぎなかったにもかかわらず、マシェリスタジオの創業者であるかのような虚偽の記載をしたことで、原告の信用が毀損されたと主張した。これに対し被告は、マシェリスタジオはカメラマンである被告及びAが事業を計画して開店に至ったものであり、原告は出資したにすぎないと反論した。 【判旨】 裁判所は、原告の請求を棄却した。裁判所は、マシェリスタジオが原告の出資により開店したものであることを認めつつも、被告及びAは開店当初から従業員として雇用され、Aがカメラマンとして写真撮影を行い、被告が撮影補助のほか現場の仕事全般を担っていた事実を認定した。そのうえで、被告及びAは少なくとも開店当時の従業員としてスタジオの現場の仕事全般を担っており、マシェリスタジオの「立ち上げに関与した」とも評価できるから、本件記載が虚偽であるとまではいえないと判断した。さらに、本件記載は被告自身の業務紹介・宣伝のウェブページにおいて被告がマシェリスタジオに関与したことを述べるものにすぎず、原告がマシェリスタジオの開店等に関与していないと述べるものではないことから、本件記載によって原告に対する社会的信頼が低下するともいえないとして、違法な信用毀損を認めなかった。