コンピュータプログラムの著作権にかかる損害賠償請求等請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和2ネ10027
- 事件名
- コンピュータプログラムの著作権にかかる損害賠償請求等請求控訴事件
- 裁判所
- 知的財産高等裁判所
- 裁判年月日
- 2020年11月25日
- 裁判官
- 大鷹一郎、本吉弘行、中村恭
- 原審裁判所
- 東京地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 中央情報システム株式会社の元従業員である控訴人が、同社を吸収合併した被控訴人(システムギア株式会社)に対し、2つの請求を行った事案の控訴審である。第1に、控訴人が作成したコンピュータプログラム(Visual Basicで記述された「3分岐プログラム」及び「7分岐プログラム」)を、中央情報システムが無断で複製して第三者に売却したことが著作権(複製権・譲渡権)の侵害に当たるとして、1800万円の損害賠償及び著作権の帰属確認を求めた。第2に、職場の他の従業員からパワーハラスメントやセクシャルハラスメントを受けたにもかかわらず、会社がこれを放置したことにより統合失調症を発症し、入院・通院治療を余儀なくされたとして、債務不履行又は不法行為に基づく1850万円の損害賠償を求めた。原審(東京地方裁判所)は控訴人の請求をいずれも棄却し、控訴人が知的財産高等裁判所に控訴した。 【争点】 主な争点は、①控訴人が主張する本件プログラムの存在及びその著作物性、②職場におけるハラスメントに対する被控訴人の安全配慮義務違反の有無である。控訴人は当審において、本件プログラムが日本ユニシスを通じて日本総合研究所に納められたほか、ヤマト運輸の物流システムやSuicaの決済システム、マイナンバーカードの発番システムにも使用されていると主張した。また、ハラスメントについては、上司として配属された訴外Bによる監視やマインドコントロールの下でセクハラ・パワハラが行われたと主張した。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原判決を支持し、控訴を棄却した。著作権侵害の争点については、原審及び当審で提出された全証拠によっても、控訴人が主張する本件プログラムの存在自体を認めることができないと判断した。加えて、著作権法上の「プログラム」として保護を受けるためには、プログラムの具体的記述に作成者の個性が創作的に表現されていることが必要であるところ、控訴人はプログラムの具体的記述内容を主張立証していないため、著作物性も認められないとした。ハラスメントの争点については、控訴人と訴外Bとの間で既に家事調停が成立し慰謝料30万円が支払われていること、調停申立書に交際関係にあった旨の記載があること等を踏まえ、訴外Bの言動は交際関係にある男女間の私的領域での行動又はその延長であり、被控訴人の業務に関連するものとは認められないと判断した。したがって、私的領域に属する訴外Bの言動について、被控訴人が使用者として措置を講ずべき義務を負うとはいえず、違法性は認められないとして、控訴人の請求をいずれも棄却した。