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最高裁

開示禁止処分等請求事件

判決データ

事件番号
令和1受1900
事件名
開示禁止処分等請求事件
裁判所
最高裁判所第二小法廷
裁判年月日
2020年11月27日
裁判種別・結果
判決・破棄差戻
裁判官
草野耕一菅野博之三浦守
原審裁判所
東京高等裁判所

AI概要

【事案の概要】 公認会計士である被上告人らは、日本公認会計士協会(上告人)の品質管理委員会に対し、上場会社監査事務所名簿への登録を申請したが、登録を認めない旨の決定(本件決定)を受けた。被上告人らは、上場会社であった会社(本件会社)との間で監査契約を締結し、同社の財務諸表についての監査(本件監査)を実施していた。本件会社は、連続して営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなるなど財政的安定性に問題がある状態にあり、かつ1億円程度の多額の現金を保有することが常態化していた。被上告人らは、現金預金につき特別な検討を必要とするリスクを識別し、現金元帳と通帳及び領収書等との突合を監査対象期間の約5箇月半分について実施したが、残りの期間については実施しなかった。また、本件会社が現金の所在を明らかにしなかったため、事業年度末に予定していた現金実査を予定どおり実施できなかった。それにもかかわらず、被上告人らは無限定適正意見を表明した。品質管理委員会は、被上告人らに基準不適合事実が見受けられるとして限定事項付き結論を表明し、本件決定をした。被上告人らは、本件決定が協会ウェブサイトで開示されると名誉又は信用が毀損されるとして、人格権に基づき開示の差止め等を求めた。原審(東京高裁)は差止請求を認容した。 【争点】 被上告人らが本件監査において実施した監査手続につき、基準不適合事実に該当する事実があるといえるか否か。具体的には、現金元帳と通帳及び領収書等との突合(証憑突合)を監査対象期間の一部(約5箇月半)に限定して実施したことが、リスク・アプローチの考え方に照らし、特別な検討を必要とするリスクに個別に対応した十分かつ適切な監査証拠を入手するに足りる手続であったか否かが問題となった。 【判旨】 最高裁は、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、東京高裁に差し戻した。本件会社は連続して営業損失を計上し、多額の現金保有が常態化し、さらに現金の所在を明らかにしなかったために事業年度末の現金実査ができなかったという事情があり、これらは不正な財務報告や資産の流用につながり得る事象であって、重要な虚偽表示のリスクを識別すべき要因に当たることが明らかであったとした。リスク・アプローチの考え方に照らせば、監査人は現金等に関する高いリスクに対応した監査手続を実施することが品質管理の基準において求められていたというべきであり、基準不適合事実の有無は、証憑突合を監査対象期間の一部に限定したことが特別な検討を必要とするリスクに個別に対応したものであったか否かを検討して判断すべきであるとした。この点を検討することなく基準不適合事実に該当する事実がないとした原審の判断には法令違反があるとした。 【補足意見】 三浦守裁判官は、日本公認会計士協会が公的な性格を有する法人であり金融庁長官の監督に服すること、上場会社監査事務所登録制度には公認会計士・監査審査会を通じた公的監督が及んでいることを指摘した上で、品質管理委員会の決定については専門性・独立性を踏まえた知見に基づく判断として合理的な裁量が尊重されるべきであると述べた。草野耕一・岡村和美裁判官は、キャッシュ・フロー計算書の正確性を監査するためには全期間の証憑突合が有効な監査方法であることは明らかであり、証憑突合の実効性に関する原審の判断は経験則に関する重大な誤りであると指摘した。また、本件会社の第三者委員会の報告書には、被上告人らが証憑突合を行わなかった期間に多額現金取引があった旨の記述があることにも言及し、差戻審での慎重な検討を求めた。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。