行政文書不開示決定取消等請求事件(1号事件),損害賠償請求事件(54号事件)
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告は、いじめ被害に遭い不登校となった後に自死した中学生Bの父親である。原告は、A町情報公開条例に基づき、A町教育委員会(処分行政庁)に対し、A町立a中学校の全生徒・全保護者を対象に実施された「いじめに関するアンケート」の回答結果をまとめた文書(本件アンケート結果まとめ文書)の開示を請求した。しかし、処分行政庁は、同文書に個人情報が含まれること(条例6条2号)、町の機関内部の調査に関する情報であること(同6号)、開示により関係当事者間の信頼関係が損なわれること(同7号)を理由に全部不開示決定をした。原告は、この不開示決定の取消し、開示決定の義務付け、及び国家賠償法1条1項に基づく慰謝料等110万円の損害賠償を求めて提訴した。 【争点】 1. 本件不開示決定が適法か否か(いじめ防止対策推進法28条との関係、条例6条2号・6号・7号の各不開示事由該当性、部分開示の可否) 2. 開示決定の義務付けの可否 3. 国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求の可否 【判旨】 裁判所は、まず、いじめ防止対策推進法28条2項との関係について、本件アンケートはBのいじめ被害という特定案件の調査として行われたものとは認められないとし、同条項を理由に条例6条の適用を否定することはできないと判断した。 次に、条例6条2号(個人情報)の該当性について、本件アンケート結果まとめ文書を5種類の文書に分けて検討した。保護者用アンケート集計表及びクロス集計表は、アンケート結果を数値的・統計的に整理したものに過ぎず、個人情報・個人識別情報には該当しないとした。他方、保護者用アンケート記述集計表、生徒用アンケート表及び対応関係表には、いじめの被害者・加害者の氏名や具体的エピソード等が記載されており個人識別情報が含まれるが、固有名詞・日付・学年・学級・部活動名等の個人識別情報に該当する部分を除けば、残余部分の開示により特定個人の識別はできなくなるとして、部分開示を命じた。条例6条6号・7号についても、個人識別情報を除いて開示する限り、信頼関係の毀損や事務事業への著しい支障は認められないとして、不開示事由に該当しないと判断した。 国家賠償請求については、統計的処理に過ぎない集計表まで全部不開示とし、その他の文書についても部分開示の検討をした形跡がないことから、処分行政庁教育長は職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と不開示決定をしたものと認め、慰謝料10万円及び弁護士費用1万円の合計11万円の損害賠償を認容した。