工事実施計画認可取消請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 中央新幹線(品川・名古屋間)のリニア建設事業をめぐり、国土交通大臣が全国新幹線鉄道整備法(全幹法)9条1項に基づき、建設主体であるJR東海に対して行った工事実施計画の認可(2014年の「その1」及び2018年の「その2」)について、東京都・神奈川県・山梨県・静岡県・長野県・岐阜県・愛知県の7都県に居住する住民らが、認可の取消しを求めて提訴した行政訴訟である。被告(国)は、原告らには原告適格がないとして訴えの却下を求め、裁判所は原告適格の有無について中間判決を行った。 【争点】 原告らが全幹法9条1項に基づく工事実施計画認可の取消しを求める原告適格を有するか。具体的には、(1)根拠法令は全幹法か鉄道事業法か、(2)乗客としての安全な輸送役務を受ける利益、(3)南アルプス等の自然環境享受の利益、(4)工事予定地内の財産権、(5)工事・列車走行等に起因する健康・生活環境被害を受けない利益が、それぞれ「法律上の利益」に該当するかが争われた。 【判旨】 裁判所は、中央新幹線は全幹法2条の新幹線鉄道の定義に適合し、根拠法令は全幹法であると判断した。その上で、全幹法9条1項の認可に当たっては、工事実施計画が技術基準省令等に適合するか否かの事前審査が求められると解し、同項には列車走行に伴う著しい騒音防止の趣旨が含まれるとした。さらに、環境基本法・環境影響評価法等の関係法令の趣旨及び目的を参酌し、全幹法9条1項は、建設予定地周辺に居住する住民に対し、工事の進行や列車走行等に起因する大気汚染・水質汚濁・騒音・振動・地盤沈下・日照阻害等による健康又は生活環境に係る著しい被害を受けないという利益を、個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むと判示した。ただし、交通混雑や景観阻害による利益は公益に属するとして個別的利益とは認めなかった。結論として、環境影響評価の調査対象地域等を目安に原告らの居住地域を検討し、全原告について原告適格を認めた。