AI概要
【事案の概要】 本件は、商標法50条に基づく不使用取消審判に関する審決取消訴訟である。原告(株式会社タキソウ)は、奥西木工株式会社から譲り受けた商標権(登録第4604203号、指定商品:第20類「家具」)の商標権者であるところ、被告が同商標の不使用を理由に取消審判を請求した。特許庁は、原告が審判請求登録前3年以内に本件商標を使用したことの証明がないとして商標登録を取り消す審決をしたため、原告がその取消しを求めた。本件商標は、家具の「キズ物市」催事の広告チラシ全体を縮小した構成からなり、将棋の駒様の図形、「大処分」「家具」「キズ物市」「大放出」等の文字、家具の絵のほか、「奥西木工」の文字が記載されたものである。 【争点】 原告が要証期間内に本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたか否か。具体的には、(1)原告が配布した広告チラシ(本件チラシ)に記載された標章(本件使用商標)が本件商標と社会通念上同一といえるか、(2)本件商標の要部は「奥西木工」の文字部分か、それともチラシ全体のレイアウト・図形的特徴か、が争われた。原告は、将棋の駒様図形や赤い楕円形ロゴ等の「視覚に飛び込む特徴部分」が要部であり、チラシの全体構成が共通するから社会通念上同一であると主張した。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原告の請求を棄却した。まず、本件商標の要部について、「大処分」「家具」「キズ物市」「大放出」等の記載や家具の絵は、販売される商品や催事の内容を表すものにすぎず、「奥西木工」の文字部分以外に指定商品(家具)の出所を示す表示はないとして、「奥西木工」の文字部分が出所表示機能を有する要部であると判断した。その上で、本件チラシ1(甲1〜7)については、全体のレイアウトは本件商標と共通する部分があるものの、いずれにも「奥西木工」の文字が記載されておらず、代わりに「タキソウパルクス刈谷店」「タキソウ家具本店」等と記載されているにすぎないから、外観が大きく異なり、称呼・観念も異なるとして、社会通念上の同一性を否定した。本件チラシ2(甲12、13)については、配布時期の立証が不十分であるとし、仮に要証期間中に配布されたとしても、同様に「奥西木工」の文字が「タキソウ家具本店」等に変更されており、小さく記載された協賛表示も商標的使用とはいえないとして、社会通念上の同一性を否定した。商標の不使用取消審判において、チラシ全体のレイアウトの類似性だけでは社会通念上の同一性は認められず、出所表示機能を有する要部の同一性が求められることを示した判決である。