殺人,窃盗,住居侵入,会社法違反被告事件
判決データ
- 事件番号
- 令和1あ1843
- 事件名
- 殺人,窃盗,住居侵入,会社法違反被告事件
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 裁判年月日
- 2020年12月7日
- 裁判種別・結果
- 決定・棄却
- 裁判官
- 山口厚、池上政幸、小池裕、木澤克之、深山卓也
- 原審裁判所
- 大阪高等裁判所
AI概要
【事案の概要】 被告人は、自宅において、被害者をその嘱託を受けることなく殺害した。その後、捜査機関に犯行が発覚する前に、嘱託を受けて被害者を殺害した旨の虚偽の事実を記載したメモを遺体のそばに置いた状態で、自宅の外から警察署に電話をかけ、自宅に遺体がありメモを見れば経緯が分かる旨伝えるとともに自宅の住所を告げた。さらに警察署において司法警察員に対し、嘱託を受けて被害者を殺害した旨の虚偽の供述をした。被告人は殺人、窃盗、住居侵入、会社法違反の各罪で起訴され、第1審で有罪判決を受け、控訴審でも控訴が棄却されたため上告した。弁護人及び被告人本人の上告趣意は、事実誤認及び単なる法令違反の主張であった。 【争点】 被告人が警察署に電話をかけ、さらに警察署で供述した行為が刑法42条1項の自首に該当するか否かが争点となった。被告人は犯行後に自ら警察に通報しているものの、その際に嘱託殺人であるという虚偽の事実を申告しており、真実の犯罪事実(嘱託のない殺人)を申告したといえるかが問題となった。 【判旨(量刑)】 最高裁第一小法廷は、上告を棄却する決定をした。裁判所は、被告人が嘱託を受けた事実がないにもかかわらず、嘱託を受けて被害者を殺害したと事実を偽って申告しており、自己の犯罪事実を申告したものということはできないから、刑法42条1項の自首は成立しないと判示した。自首が成立するためには、自己の犯罪事実を申告することが必要であるところ、被告人は殺人の事実自体は申告しているものの、嘱託殺人という真実とは異なる犯罪類型を申告したにすぎず、これは自己の犯罪事実の申告とは評価できないとしたものである。第1審判決と同旨の判断を是認した原判決は正当であるとし、裁判官全員一致の意見で上告棄却を決定した。当審における未決勾留日数中280日が本刑に算入された。