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【事案の概要】 原告(事故当時33歳の会社員男性)が、被告の経営するスーパーマーケット(東京都練馬区所在)に利用客として訪れた際、レジ前通路の床に落ちていたかぼちゃの天ぷらを踏んで転倒し、右膝打撲及び膝内障(右膝後十字靭帯損傷・右膝蓋軟骨損傷)の傷害を負った。原告は、被告に対し、安全配慮義務違反の不法行為又は債務不履行ないし工作物責任に基づき、損害賠償金約141万円及び遅延損害金の支払を求めた。被告店舗では、惣菜を大皿に盛って陳列し、利用客自身がトングで取ってパック等に詰めてレジに持参する販売方法を採用していた。事故は平日午後7時30分頃の混雑する時間帯に発生した。 【争点】 (1) 被告の不法行為責任等の成否:被告は、天ぷらは利用客が落としたものであり、レジ前通路での落下物による転倒は極めて例外的で予見困難であること、レジ内の従業員はレジ台の死角でレジ前通路を視認できないこと、混雑時間帯にレジ付近の巡回は困難であること等を主張した。 (2) 損害額:被告は、原告の傷害は右膝打撲にとどまり膝内障は認められないこと、治療期間は2週間程度が妥当であること等を争った。 (3) 過失相殺の可否:被告は、原告が通常の注意を払っていれば天ぷらに気付いて事故を回避できたと主張した。 【判旨】 裁判所は、被告の不法行為責任を認めた上で、原告にも5割の過失相殺を認め、約57万円の支払を命じた。 責任論について、裁判所は、被告が採用していた惣菜の販売方法(利用客自身がパック詰めしてレジに持参する方式)のもとでは、利用客がレジ前通路で惣菜を床に落とすことは容易に予想されるとし、混雑時間帯には従業員によるレジ周辺の安全確認を強化・徹底すべき義務があったと判示した。被告がレジ前での転倒リスクが低いと主張した点については、消費者庁のニュースリリースでも落下物による店内転倒事故が相当程度の割合を占めていることを指摘して排斥した。また、従業員が天ぷらに気付くことが不可能だったとの主張に対しても、26名程度の従業員が勤務しており、利用客の邪魔にならない形での目視確認は可能であったと判断した。 損害額については、治療費約11万円、休業損害4万円、通院慰謝料100万円等の合計約118万円を認定した上で、5割の過失相殺を適用し、既払金控除後に弁護士費用を加算して約57万8000円を認容した。