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下級裁

殺人

判決データ

事件番号
令和1う1512
事件名
殺人
裁判所
東京高等裁判所
裁判年月日
2020年12月10日
裁判種別・結果
破棄差戻
裁判官
大熊一之奥山豪小野寺健太
原審裁判所
東京地方裁判所

AI概要

【事案の概要】 被告人は、平成25年6月10日頃、東京都新宿区の被害者(当時25歳)方において、殺意をもって、ジフェンヒドラミンを含有する睡眠改善薬(ドリエル)を摂取させた上、頸部を圧迫して窒息死させたとして殺人罪で起訴された事案の控訴審である。被告人は被害者と交際する一方、別の女性とも交際しており、事件前にドリエル8箱を大量購入していた。被害者の消息途絶後、被告人は交際相手と共に死体を被害者方から運び出し、約1か月後に墓地に埋めて隠匿した。原審(裁判員裁判)は、被害者の死因を頸部圧迫による窒息死と認定し、被告人を殺人罪の犯人と認めた。 【争点】 主要な争点は、(1)被害者の死因が頸部圧迫による窒息死といえるか(事件性)、(2)被告人が犯人と認められるかの2点であった。死因に関しては、死体が高度に死蝋化しており、法医学者間で見解が分かれた。D教授は、死体に認められる「著明なピンク歯」(歯牙が左右上下ほぼ均等かつ広範囲に鮮明なピンクに変色した所見)が頸部圧迫による頭部鬱血を示す所見であり、ジフェンヒドラミン中毒死(遷延死)では頭部鬱血が生じないことから窒息死が最も考えられると証言した。一方、解剖を担当したB教授は、ピンク歯は頸部圧迫による窒息死に特異的な現象ではなく、水中・土中など様々な環境で生じ得るとし、死因は不詳とした。 【判旨】 東京高裁は、原判決を破棄し、東京地裁に差し戻した。その理由は以下のとおりである。 第一に、原判決がB教授の証言の信用性を否定した理由は不合理であると指摘した。原判決は、D教授がピンク歯の研究を長年行っている一方、B教授はそのような深い知見を有しないとしたが、専門家であれば個別研究を行っていなくとも学識経験に基づき判断できるとした。 第二に、D教授の「著明なピンク歯が頭部鬱血を示す」との見解について、その根拠となる動物実験は適切な対照実験を欠いていること、ピンク歯の著明度から頭部鬱血の有無・程度を判定する方法や基準が不明であること、海外の論文でもピンク歯と死因との間に明白な関連性がないとの一般的合意が指摘されていること等から、同見解は仮説の段階にとどまり、刑事裁判の証拠として十分な証明力を有しないとした。 第三に、当審で採用したG教授の証言により、ジフェンヒドラミンには抗コリン作用による急性心臓死の可能性があり、中毒死であっても急死の徴候が生じ得ることが示され、中毒死の可能性を否定できないとした。 以上から、被害者の死因がジフェンヒドラミン中毒死である合理的疑いを否定できず、頸部圧迫による窒息死と認定した原判決には事実誤認があるとした。もっとも、ジフェンヒドラミンを過剰摂取させた行為自体が殺人未遂罪を構成する可能性があるため、この点を含め更に審理を尽くさせるべく、第一審に差し戻した。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。