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行政

遺族補償年金等不支給処分取消請求事件

判決データ

事件番号
平成29行ウ119
事件名
遺族補償年金等不支給処分取消請求事件
裁判所
名古屋地方裁判所
裁判年月日
2020年12月16日
裁判官
井上泰人前田早紀子伊藤達也

AI概要

【事案の概要】 ヤマト運輸株式会社でセンター長として勤務していたAの妻である原告が、Aが自殺したのは業務に関連して生じた心理的負荷により発病した精神障害(適応障害)の影響によるものであると主張して、名古屋北労働基準監督署長に対し、労災保険法に基づく遺族補償年金及び葬祭料の支給を請求したところ、不支給処分を受けたため、その取消しを求めた事案である。 Aは平成11年にヤマト運輸に入社し、平成14年以降複数のセンターでセンター長を歴任した。平成27年9月、部下からのパワハラ苦情や上司との口論を契機とする異動(本件異動)に納得がいかないまま新センターで勤務を続けていたところ、平成27年12月の繁忙期には月133時間超の時間外労働を行い、その後も恒常的な長時間労働が続いた。平成28年2月にはセンター員2名が相次いで交通事故を起こし、Aは責任を感じてセンター員への安全指導を強化していた矢先の同年3月30日、自らも業務中に交通事故に遭い、安全会議で過失を指摘された。Aは深く落ち込み、遺書に「事故で心が折れた」旨記載して同年4月に自殺した。 【争点】 本件自殺の業務起因性、特に業務による心理的負荷の程度。原告は、長時間労働(発病前4か月目に約146時間の時間外労働)、支店長からのパワハラ的メール、交通事故とその後の対応等により心理的負荷の強度は総合して「強」であると主張した。被告(国)は、時間外労働による心理的負荷は「中」にとどまり、支店長のメールは通常の業務連絡の範囲内であって、交通事故も物損にすぎず心理的負荷は「弱」であるとして、業務起因性を否定した。 【判旨】 請求認容(処分取消し)。裁判所は、精神障害の業務起因性の判断枠組みとして、ストレス-脆弱性理論に基づき、業務による心理的負荷が平均的労働者を基準として客観的に精神障害を発病させる程度に強度であるか否かを判断すべきとし、厚労省の認定基準を参考にしつつ個別事情を総合的に考慮するとした。 時間外労働については、発病前4か月目が133時間57分、3か月目が79時間02分等であり、「極度の長時間労働」には該当しないものの、心理的負荷の強度は「強」にごく近接した「中」と評価した。繁忙期の長時間労働で蓄積した疲労が十分に回復しないまま恒常的な長時間労働が継続し、ストレス対応能力が相当程度低下していたと認定した。 交通事故については、物損事故であり処分も予定されていなかったことから、事故単体では客観的に強い心理的負荷とは評価できないとしつつも、ヤマト運輸における交通事故の重大な位置付け、センター員の2件の事故後にAが安全指導を強化していた矢先に自ら事故を起こしたという経緯、センター長としての面目喪失を考慮し、心理的負荷の強度を「中」と評価した。 総合評価として、長時間労働による「強」にごく近接した「中」の心理的負荷に加え、交通事故による「中」の心理的負荷を合わせれば「強」に達し、客観的に精神障害を発病させるものであったと判断した。Aの適応障害の発病は業務に内在する危険が現実化したものであり、業務との相当因果関係を認め、不支給処分を取り消した。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。