損害賠償請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 エルメス・アンテルナショナル(被控訴人)が、自社の「バーキン」の立体商標権及び不正競争防止法に基づき、株式会社ティアマリア(控訴人)に対して損害賠償を請求した事案の控訴審である。被控訴人は、バーキンの形状について立体商標権を有し、その形態は被控訴人の周知・著名な商品等表示でもあると主張した。控訴人は、バーキンと類似する形態のハンドバッグ(「バーキンタイプのバッグ」)を中国の業者から100個仕入れて販売していた。原審(東京地裁)は、不正競争防止法4条に基づき約289万円の損害賠償を認容し、控訴人がこれを不服として控訴した。 【争点】 (1) 被控訴人商標と控訴人商品等の形状の類似性(商標権侵害の有無)。控訴人は、バーキンとオータクロアの形状がほぼ同一であるため、オータクロアと共通する部分には自他商品識別機能がないと主張した。また、価格差(被控訴人商品100万円超に対し控訴人商品2〜3万円)や素材・ロゴの違いから誤認混同のおそれはないと主張した。さらに、被控訴人商標の無効の抗弁を当審で新たに主張した。 (2) 控訴人商品等の販売の不正競争該当性(被控訴人商品の形態の商品等表示性・著名性、形態の類似性・混同のおそれ、不競法附則3条1号の適用除外の有無)。 (3) 商標権侵害及び不正競争についての控訴人の故意・過失の有無。 (4) 被控訴人の損害額(販売個数及び限界利益率)。 【判旨】 控訴棄却。知財高裁は原判決を相当と判断し、以下のとおり控訴人の主張をいずれも排斥した。 争点(1)について、被控訴人商標は商標法3条2項の要件を充足し自他商品識別機能を有しており、控訴人はオータクロアとの共通部分について識別機能が失われる理由を具体的に主張立証していないとして、被控訴人商標と控訴人商品等の立体的形状を直接対比することは相当であるとした。外観の類似性については、控訴人商品が被控訴人商標の特徴(台形状の正面、切り込みを有する蓋部、左右一対のベルト、固定具、円弧状ハンドル等)を全て備えており類似すると認定した。取引の実情については、被控訴人商品の中古品が市場で活発に取引されており、中古品では出所や品質が新品のように明確にされない場合も少なくないことから、価格・品質・ロゴ等の相違を考慮しても誤認混同のおそれがあるとした。商標無効の抗弁は、時機に後れた攻撃防御方法としては却下しなかったものの、識別機能がなかったことを裏付ける証拠がないとして理由がないとした。 争点(2)について、被控訴人商品の形態は遅くとも平成21年までに著名な商品等表示に該当するに至ったと認定した。不競法附則3条1号の適用除外については、控訴人が施行前から類似バッグを販売していたことを裏付ける証拠が不十分であり、仮に販売していたとしても不競法2条1項1号に該当し同附則のかっこ書きにより適用除外に当たらないとした。 争点(3)について、控訴人はバッグ販売を業としており一般消費者より豊富な知識を有していたと推認されるとして、少なくとも過失があったと認定した。 争点(4)について、控訴人自身の主張から100個の販売を認定し、限界利益率は控訴人が関連資料を提出しないこと等を考慮して60%と認定した。