AI概要
【事案の概要】 原告(株式会社URICE)は、株式会社BANANAが著作権を有するFX裁量取引補助ツール「トレーダーファムインジケーター」について、1回の利用許諾あたり24万9900円(税込み)で独占的利用の許諾を受けていた。原告は、自らが運営する投資関連の有料コミュニティ(トレーダーファムコミュニティ)の入会特典として本件ソフトを配布し、入会費用を得ることで利益を享受していた。 被告は、投資講座を通じて原告コミュニティに入会し、入会費用49万9800円(2個分)を支払って本件ソフトの交付を受けた。ところが被告は、同講座で知り合った7名(Aを含む)と情報交換をすることとし、令和元年8月、原告に無断で、Aほか1名に本件ソフトのデータをメール添付で送信したほか、7名で共有するアカウントを利用してサーバーに本件ソフトをアップロードし、計7名に配布した。 原告は、被告の行為により独占的利用権を侵害されたと主張し、7名分の再利用許諾代金174万9300円及び弁護士費用34万9860円の合計384万8460円の損害賠償を請求した。 【争点】 ①被告が7名に本件ソフトを配布した行為が原告の独占的利用権を侵害するか。 ②被告の不法行為によって原告が被った損害の額。 【判旨】 裁判所は、著作物の独占的利用権者は著作権者に対する債権的請求権を有するにすぎないものの、独占的利用による利益を享受し得る地位にあるとした上で、被告の行為は原告の独占的利用権に基づく利益を侵害するものと認定した。具体的には、被告が本件ソフトを複製してメール送信し、さらに共有サーバーにアップロードして自動公衆送信し得る状態にしたことが、原告の独占的利用の地位を通じて得る利益の侵害にあたると判断した。 損害額については、本件ソフトの配布を受けた7名はいずれも原告コミュニティへの入会を勧誘されながら入会しなかった者であることから、被告の行為がなければ7名全員が入会したとは認められないとした。もっとも、7名のうちAは、配布に必要な処理を率先して行うなど本件ソフトの価値に強く着目しており、被告の行為がなければ入会特典として本件ソフトを入手するために原告コミュニティに入会したと認めるのが相当であるとし、原告が少なくとも1名の入会者を失ったと認定した。入会費用24万9900円を損害と認め、弁護士費用3万円と合わせて合計27万9900円の限度で請求を認容した(請求額の約7.3%)。