AI概要
【事案の概要】 消費生活協同組合連合会である原告(グリーンコープ連合)が、被告(福島民友新聞社)の発行する福島民友新聞及びウェブサイトに掲載された計10本の記事等により名誉を毀損されたとして、不法行為に基づく損害賠償金約3億7106万円及び謝罪広告の掲載を求めた事案である。原告は九州・中国地方を中心に約40万人超の組合員を擁する生協連合会であり、東日本大震災復興応援企画として商品カタログに被災地の商品を掲載する取組みを行っていた。被告は、原告がホームページに掲載した2017年の商品カタログの復興応援企画に福島県産の商品が掲載されていなかったことを捉え、2017年9月24日から10月3日にかけて「復興応援なのに今年も本県外し」等の見出しで記事・社説を連続掲載した。 【争点】 (1) 本件各記事における事実の摘示及び社会的評価の低下の有無、(2) 違法性阻却事由(公共性・公益目的、真実性、真実性誤信の相当性)の有無、(3) 損害の発生及びその額、(4) 謝罪広告の必要性の有無。 【判旨】 裁判所は、本件各記事(10本全て)について名誉毀損の不法行為の成立を認めた。各記事は「本県外し」「除外」という作為的排除を示す文言を用い、東北5県事件(前年のカタログで「東北5県」と表記し福島県を除外した問題)と風評被害を結び付けて報道していることから、原告が放射性物質による汚染を懸念して意図的に福島県産商品をカタログから除いている事実を摘示したものと認定した。しかし実際には、原告は問題のカタログに先立つ複数のカタログの復興応援企画に福島県産商品を掲載しており、原告サイトからもその事実を容易に確認できた。被告記者は原告の専務から原告サイトの他の支援活動も見るよう要望されていたにもかかわらず、一部の情報のみに依拠して記事を掲載しており、真実性も真実性誤信の相当性も認められないとした。損害額については、短期間に違法な事実摘示が繰り返され原告に多数の抗議が寄せられた一方、東北5県事件が発端となった側面や反論冊子の配布済みである事情等を考慮し、慰謝料100万円及び弁護士費用10万円の合計110万円を認容した。カンパ代約3億2075万円は支援活動として有益であり「無価値」にはならないとして否定し、冊子製作費用約658万円も原告サイトを活用すればより低廉に意見表明が可能であったとして相当因果関係を否定した。謝罪広告も、本判決による損害賠償の認容により社会的評価が相当程度回復するとして必要性を認めなかった。