議員除名処分取消等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 札幌市議会議員であった被控訴人が、令和元年第1回臨時会本会議において臨時議長として議事進行を行った際の一連の言動を理由に、札幌市議会から除名処分を受けた。被控訴人は、同処分が違法であるとして、控訴人(札幌市)に対し、除名処分の取消し並びに議員報酬及び期末手当の支払を求めた。原審(札幌地裁)は、除名に比例するよほどの懲罰事由がない限り除名は違法であるとの判断枠組みのもと、被控訴人の請求を全部認容した。これに対し、控訴人が控訴した。 【争点】 札幌市議会が被控訴人に対して科した除名処分が、議会の裁量権を逸脱又は濫用した違法なものといえるか。具体的には、(1)臨時議長としての一連の言動の懲罰事由該当性及びその態様等の評価、(2)除名という懲罰の選択が裁量権の範囲内か、(3)懲罰手続に瑕疵があったかが争われた。 【判旨】 控訴認容(原判決取消し、被控訴人の請求を全部棄却)。裁判所は、除名処分であっても議会の自律的権能に基づく裁量権の範囲内にとどまる限り尊重されるべきであるとしつつ、懲罰事由に該当する行為の動機・性質・態様・結果・影響等のほか、除名による重大な影響等に鑑み、裁量権の逸脱・濫用が認められる場合には違法となるとの判断枠組みを示した。その上で、被控訴人の一連の言動について、(1)各派交渉会で事前調整済みの選挙方法に反して独断で立候補制を提案し賛成者なく議題として扱った、(2)議事進行に関する動議を取り上げず発言の機会を与えなかった、(3)異議があるにもかかわらず表決をとらず自らの提案が決定されたと宣言した、(4)自らの議事進行が全く支持されていないことを認識しながら改めず、解任後も議長席から退かなかった等の事実を認定し、臨時議長の職権を確信的に濫用して非民主的かつ偏頗な議事運営を行い議事を約9時間にわたり混乱させた極めて悪質な行為であると評価した。被控訴人が反省の弁を述べていること、結果的に市政への重大な影響が回避されたこと、除名が選挙直後になされた重大な懲罰であること等の有利な事情を考慮しても、議会が除名を選択したことは裁量権の逸脱・濫用に当たらず、手続的瑕疵も認められないと判断した。