名誉回復措置等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 世界地図の作成技法「オーサグラフ」を発明した慶應義塾大学准教授である原告X及び同技法関連製品の製造販売を行う原告会社が、かつて原告Xの師であった被告に対し、被告が公益財団法人日本デザイン振興会(グッドデザイン大賞授与団体)に「オーサグラフは被告の発明した世界地図作成技法『テトラマ』の盗用である」旨の書簡を送付し(本件告知)、さらに約4か月にわたりブログやツイッター等で繰り返し同様の投稿をしたこと(本件流布)が、不正競争防止法2条1項21号(虚偽事実の告知・流布)及び一般不法行為に当たるとして、差止め、投稿記事の削除、損害賠償(原告Xにつき700万円、原告会社につき300万円)及び信用回復措置(謝罪広告の掲載)を求めた事案である。原告Xと被告は平成7年頃から師弟関係にあり、球形の地球を正四面体に投影して矩形に展開する地図作成技法「テトラマ」を共同開発したが、平成12年に共同開発を解消し、覚書において原告Xが平成17年7月以降テトラマの改良発明を開発する自由を有すること等を定めていた。 【争点】 (1)被告がオーサグラフはテトラマの盗用であると告知・流布したことが虚偽事実に当たるか、(2)原告Xが秘密保持契約上の義務に違反したとの告知が虚偽か、(3)原告Xと被告の間に競争関係があるか、(4)被告の故意・過失の有無、(5)原告らの損害額、(6)信用回復措置の必要性。 【判旨】 裁判所は、争点(1)について、旧覚書・新覚書の記載及びテトラマ発明の特許出願において原告Xが共同発明者とされていたことから、原告Xはテトラマの共同発明者であり被告もそれを認識していたと認定した。被告が単独発明者であることを前提に原告Xによる盗用を主張した本件各投稿は虚偽であると判断した。また、オーサグラフ発明は、テトラマ発明と球面情報を正四面体に投影する技術思想で共通するものの、面積比・線分比の補正による歪み低減という独自の構成を備えており、テトラマの改良発明に当たるとした。新覚書により原告Xは改良発明を開発する自由を有するから、オーサグラフの発表はテトラマの盗用に当たらないとした。争点(2)について、新覚書5条により守秘義務は平成17年7月1日に解除されており、本件告知時点で原告Xは守秘義務を負っていなかったから、守秘義務違反との告知も虚偽であると認定した。損害額については、仮処分申立ての弁護士着手金59万4000円、精神的苦痛等の無形損害100万円、訴訟弁護士費用10万円の合計169万4000円を認容した。他方、原告会社については、本件告知等が原告会社名や販売商品に言及するものではないとして請求を棄却し、信用回復措置としての謝罪広告も必要性がないとして否定した。被告に対し、盗用である旨の告知・流布の差止め、投稿記事の削除(一部を除く)及び169万4000円の損害賠償を命じた。