AI概要
【事案の概要】 原告(株式会社エヌ・エス・ピー)は、「基礎コンクリート形成用型枠の支持具」に関する特許権(特許第4446127号)を有している。本件特許に係る発明は、基礎コンクリートを形成するために使用される型枠の位置を固定するための支持具であり、薄板で形成された基部に外側係止部・内側係止部・アンカー部を備え、基部とアンカー部の間に折取部を設けたことを特徴とする。原告は、被告(株式会社東海建商)が製造販売する「SP止め金具ZAMタイプ」及び「新SP止め金具」が本件特許発明の技術的範囲に属すると主張し、特許法100条1項・2項に基づく製造販売等の差止め及び廃棄、並びに民法709条・特許法102条2項に基づく損害賠償金1188万円及び遅延損害金の支払を求めた。 【争点】 (1) 各被告製品が本件発明の技術的範囲に属するか(構成要件D・Eの充足性)。特に「係止」の意義について、原告は水平方向の固定で足りると主張し、被告は内外方向及び上下方向に移動不可能となる固定を要すると主張した。 (2) 本件特許に無効理由があるか。具体的には、乙4記載の考案(コンクリート型枠傾倒防止具)を主引例とする進歩性欠如(特許法29条2項)の有無、及びサポート要件違反(同法36条6項1号)の有無が争われた。 (3) 損害の発生の有無及び損害額。 【判旨】 裁判所は、事案に鑑みまず無効理由1(進歩性欠如)について判断した。本件発明と乙4考案を対比し、外側係止部・内側係止部を備えていない点(相違点1)及び切り欠きに代えて折取部を設けた点(相違点2)で相違すると認定した。相違点1について、乙7記載の公知技術4(型枠間隔保持具)及び乙8記載の公知技術5(型枠板保持具)は、いずれもコンクリート型枠を固定するための固定具に係る技術であり、外側係止部及び内側係止部に相当する構成を開示していると認定した。コンクリート型枠の固定は施工のどの段階でも要求される普遍的な要請であることから、乙4考案と公知技術4・5の技術分野は関連し共通性を有するとして、組合せの動機付けを肯定した。相違点2についても、公知技術2・9〜11により、型枠保持具に折取部を形成することは出願当時の周知技術であったと認定し、乙4考案に周知技術を適用する動機付けがあるとした。原告の「2度打ち工法特有の技術に限定すべき」との主張は、関連技術分野の範囲を過度に限定的に捉えるものとして排斥した。以上から、本件発明は乙4考案から当業者が容易に想到できたとして進歩性を否定し、本件特許は無効審判により無効にされるべきものと認め、特許法104条の3第1項により原告の請求をいずれも棄却した。