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下級裁

被爆者健康手帳交付申請却下処分取消等請求事件

判決データ

事件番号
平成28行ウ16
事件名
被爆者健康手帳交付申請却下処分取消等請求事件
裁判所
長崎地方裁判所
裁判年月日
2019年1月8日
裁判官
武田瑞佳堀田秀一小島務

AI概要

【事案の概要】 本件は、韓国在住の原告が、昭和20年8月9日の原爆投下当時、徴用工として長崎市内の三菱重工業長崎造船所のA寮にいたとして、被爆者援護法1条1号の「被爆者」に当たることを理由に、長崎市長に対し被爆者健康手帳の交付を申請したところ、これを却下する処分を受けたことから、当該処分の取消しと手帳交付の義務付けを求めるとともに、被告国及び長崎市に対し、被爆者援護法の趣旨に反する取扱いにより精神的苦痛を受けたとして、国家賠償法1条1項に基づく慰謝料110万円の連帯支払を求めた事案である。 原告は、昭和19年7月頃、朝鮮半島から日本に徴用され、長崎造船所の鉸鋲係で鉄板を接合する「カシメ」作業に従事していたと主張した。原爆投下時はA寮2階におり、真っ赤な光と爆発音を経験し、爆風で窓ガラスが割れる中、防空壕まで避難したという。長崎市長は、原告の申述する社番や寮の責任部長等を確認できないことを理由に、平成28年10月14日付けで交付申請を却下した。被爆から70年以上が経過し、証人の確保や証拠収集が極めて困難な在外被爆者の認定が問題となった。 【争点】 (1)原告が原爆投下当時、旧長崎市の区域内に在ったと認められるか、(2)長崎市長による却下処分や、被告国による昭和49年の衛発第402号通達(日本国内居住要件を定めた通達)の発出・運用、供託書副本の廃棄等の行為が、国賠法1条1項の適用上違法と評価されるか、が争われた。 【判旨】 裁判所は、被爆者該当性について、原告の供述する社員番号が造船所鉸鋲係の番号体系(3万6000番台〜3万9000番台の5桁番号)と整合すること、A寮と造船所の位置関係や「カシメ」作業の内容が客観的資料と符合すること、来日経緯・寮での生活・被爆時の状況について具体的で一貫した供述がなされていることを指摘し、原告供述の骨格部分の信用性を肯定した。70年以上の時間経過や戦争中の甚大な被害を踏まえれば直接的な裏付け証拠がないのも不自然ではないとして、原告は原爆投下時に旧長崎市内にいたものと認め、却下処分を違法として取り消し、被爆者健康手帳の交付を義務付けた。 一方、国家賠償請求については、402号通達がなければ原告がより早期に申請したか不明であり、通達と申請阻害との因果関係が立証されていないこと、供託書副本の廃棄も、原告の氏名が記載されていたか不明である以上、証明妨害には当たらないこと、長崎市職員も証人不在のみで却下せず、独自調査を行うなど通常尽くすべき注意義務を果たしており、行政処分が取り消されるべきであっても直ちに国賠法上の違法とは評価されないとする判例法理(最判昭和60年11月21日、最判平成5年3月11日)に照らし違法はないとして、慰謝料請求は棄却した。 本判決は、在外被爆者について、証拠が散逸し証人確保が困難な事案においても、供述の客観的裏付けと具体性・一貫性を重視して被爆者認定を認めた点で、被爆者援護法の人道的趣旨に沿った実務上重要な意義を有する。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。