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下級裁

職務上義務不存在確認等請求事件

判決データ

事件番号
平成28行ウ74
事件名
職務上義務不存在確認等請求事件
裁判所
大阪地方裁判所
裁判年月日
2019年1月16日

AI概要

【事案の概要】 本件は、大阪市が設置していた地方公営企業である大阪市交通局の職員として地下鉄運転業務に従事していた原告ら2名が、大阪市(被告)に対し、ひげを生やしていたことを理由として低評価の人事考課を受けたとして、勤勉手当の差額請求及び国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めた事案である。 原告らは、いずれも昭和50年代に交通局に採用され、高速運転士として長年勤務してきた熟練の鉄道運転士で、それぞれ昭和59年頃、平成6年頃からひげを生やし続けてきた。交通局は、平成24年9月、運輸部において「職員の身だしなみ基準」を制定し、男性職員に対して「髭は伸ばさず綺麗に剃ること。(整えられた髭も不可)」との基準を示すとともに、各所属長宛ての通達において、度重なる指導にもかかわらず改善が見られない場合は人事考課への反映も行う旨を定めた。 原告らの上司らは、これらの規程を根拠に、原告らに対して繰り返しひげを剃るよう指導したが、原告らはひげを生やす自由は人格権として憲法上保障されるなどと主張してこれに応じなかった。その結果、原告らは平成25年度及び平成26年度の人事考課において、「市民・お客さま志向」や「規律性」の評価項目で通常よりも低い点数を付与され、相対評価で最低区分又はその1つ上の区分に振り分けられて、勤勉手当の支給額に不利益を被った。原告らは、当該人事考課はひげを生やす自由を侵害する違法なものであるとして提訴した。 【争点】 主たる争点は、(1)本件各人事考課が違法として勤勉手当の差額請求権が発生するか、(2)身だしなみ基準の制定、上司らの指導、本件人事考課のそれぞれについて国家賠償法上の違法性が認められるか、(3)損害の有無及び額の3点である。その前提として、地下鉄運転士のひげに関する服務規律がどこまで許容されるのかという人格的自由と服務規律との調整が中核的論点となった。 【判旨】 裁判所は、まず、ひげを生やすことは服装や髪型等と同様に自己の外観をいかに表現するかという個人の自由に属し、しかも着脱不能で私生活上の利益にも及ぶものであるから、労働者のひげに関する服務規律は、事業遂行上の必要性が認められ、かつ制限の内容が労働者の利益や自由を過度に侵害しない合理的な内容の限度でのみ拘束力を有すると判示した。 その上で、本件身だしなみ基準については、乗客サービスの理念を示して職員の任意の協力を求める趣旨のものと解される限度で一応の必要性・合理性があり、制定自体が違法とまではいえないとした。他方、原告らに対する上司らの指導のうち、人事上の処分や退職を余儀なくされることまで示唆した運輸長の発言については、任意の協力を求める基準の趣旨を逸脱しており国家賠償法上違法であると認定した。 本件各人事考課については、評価者が原告らのひげを主要な減点事由として考慮したものと認め、地下鉄運転士がひげを生やしていることが運行の安全に直接支障を及ぼすとはいえず、単にひげを生やしていることをもって人事上の不利益処分の対象とすることは服務規律として合理的な限度を超えるとして、裁量権の逸脱・濫用に当たり国家賠償法上違法であると判断した。 もっとも、勤勉手当の差額請求については、ひげに関する考慮を除いたとしても絶対評価で平均点が付され相対評価で第3区分に位置付けられるとまでは認められないから、確定的な差額請求権は発生していないとして、当該請求は棄却した。 結論として、裁判所は原告らそれぞれに慰謝料20万円及び弁護士費用2万円の合計22万円並びに遅延損害金の支払を命じ、その余の請求を棄却した。公営企業における身だしなみ規制と労働者の人格的自由の調整枠組みを示した実務上意義のある判断である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。