都道府県を選択して、裁判官を探すことができます

全国 2522 人の裁判官3153 件の口コミ
行政

所得税更正処分取消等請求事件

判決データ

事件番号
平成29行ウ102
事件名
所得税更正処分取消等請求事件
裁判所
大阪地方裁判所
裁判年月日
2019年1月17日
裁判官
松永栄治森田亮横井真由美

AI概要

【事案の概要】 本件は、ゴルフ会員権の譲渡に伴う損失の損益通算の可否、とりわけ、旧会員権取得時に支払った登録料等を、民事再生手続後に発行された新会員権の取得費として控除できるかが問題となった事件である。 原告は、平成9年に株式会社A社との間で、同社が経営するゴルフクラブBの会員契約を締結し、入会登録料100万円と入会保証金450万円の合計550万円(本件登録料等)を支払って会員権(本件旧会員権)を取得した。ところが、A社は経営不振により平成17年に東京地方裁判所で再生手続開始決定を受けた。再生計画では、オリックスグループが支援に入り、同グループの子会社であるD社が本件ゴルフ場の営業譲渡を受けて運営を行うこととされた。同計画では、D社はA社の債務や会員契約を一切承継せず、継続を希望する旧会員はD社に新たに入会を申し込むことで、入会金等の追加負担なしに新規会員権の発行を受けられる仕組みとされた。原告もこの仕組みを利用して新規会員権(本件新会員権)の発行を受けた。 その後、原告は平成25年に本件新会員権を合同会社Fに対し20万円で売却し、平成26年の確定申告において、本件登録料等550万円が本件新会員権の取得費に該当するとして、譲渡所得の計算上530万円の損失が生じたとし、事業所得等との損益通算を行った。これに対し東税務署長は、本件旧会員権と本件新会員権との間に資産としての同一性がなく、本件登録料等は新会員権の取得費として控除できないとして、更正処分および過少申告加算税賦課決定処分(本件各処分)を行った。原告は、不服申立てを経て、本件各処分の取消しを求めて提訴した。 なお、所得税法施行令の改正により、平成26年4月1日以後のゴルフ会員権譲渡による損失は損益通算の対象外とされているが、本件は改正前の譲渡である。 【争点】 本件における主な争点は、原告がA社に支払った本件登録料等550万円が、本件新会員権の取得費(所得税法33条3項)に該当するか、すなわち、本件旧会員権と本件新会員権との間に資産としての同一性が認められるかである。原告は、A社とD社は同一資本グループであり実質的に同一視でき、また両会員権はプレー権、年会費、預託金返還請求権といった内容において同一性を保っていると主張した。これに対し被告は、再生計画においてD社がA社の債務および会員契約を承継しない旨が明記されており、両会員権は契約上の地位として別個のものであると主張した。 【判旨】 大阪地方裁判所は、原告の請求をいずれも棄却した。 裁判所はまず、所得税法33条3項が譲渡所得の総収入金額から「基因となった資産」の取得費を控除できる旨を定めていることから、譲渡した資産との同一性が認められない資産の取得費を控除することはできないとの一般論を示した。 その上で、本件旧会員権は原告とA社との間の会員契約を法律上の発生原因とする契約上の地位であるところ、本件再生計画においては、D社はA社の債務および旧会員との会員契約を承継しないことが明記され、旧会員のうち利用継続を希望する者はD社との間で新たに会員契約を締結する仕組みとされていたこと、A社およびD社らからも旧会員契約が効力を失う旨の案内が行われていたことを認定した。これらの事情に照らせば、旧会員権は再生計画により会員契約が効力を失ったことに伴い消滅し、新規会員権はD社との間の新たな会員契約により発生したものと解するのが相当であるとした。 したがって、両会員権は法律上の発生原因である会員契約を異にするものであり、契約上の地位としての同一性を欠くから、原告がA社に支払った本件登録料等550万円は本件旧会員権の取得に要した金額にとどまり、本件新会員権の取得費には該当しないと判断した。 原告の主張に対しては、A社とD社の法人格が異なることは明らかであり、再生計画もD社がA社の権利義務を承継しないとの枠組みで策定されていること、プレー権や年会費等の権利義務の内容が類似していても、発生原因である会員契約が異なる以上別個の資産といわざるを得ないこと、D社が新規会員権発行に際し追加の金銭を徴収しなかったのはA社とD社間の預託金精算手続の便宜によるものにすぎないことなどを指摘して、いずれも採用しなかった。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。