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下級裁

殺人

判決データ

事件番号
平成30わ482
事件名
殺人
裁判所
名古屋地方裁判所
裁判年月日
2019年1月18日
裁判官
森島聡西山志帆横井千穂

AI概要

【事案の概要】 本件は、被告人が自宅で夫である被害者(当時50歳)の頸部を電源コードやネクタイで絞め付けて窒息死させたとして、殺人罪に問われた事案である。被告人は、平成22年頃から被害者による家庭内暴力を継続的に受けており、肋骨を折られたり顔面が腫れ上がるほどの強度の暴行を複数回受けてきた。被害者からは、暴言や過去の経歴を暴露するとの脅迫もなされていた。 平成30年3月10日、些細なことに怒った被害者から被告人は土下座させられ、一緒に訪れたラーメン店では飲酒した被害者からラーメンのスープをかけられるなどの屈辱的扱いを受けた。同日午後9時20分過ぎに被告人方へ帰宅した直後、被告人は被害者から「前みたいにボコボコにしてやる。」などと言われ、胸倉を両手でつかまれて身体を上方に持ち上げられた。 被告人は、自己の身体を防衛するため、とっさに電源コードを手にして被害者の頸部に巻き付けて絞め付け、被害者が動かなくなった後、さらにネクタイを被害者の頸部に巻いて絞め付け、窒息死させた。犯行後、被告人は約13時間後に母親及び叔父に促されて自首した。検察官は懲役7年を求刑し、弁護人は執行猶予付き判決を求めた。 【争点】 本件では、被告人の行為が正当防衛として成立するか、あるいは過剰防衛にとどまるかが中心的争点となった。被告人が被害者から長期間にわたって家庭内暴力を受けてきた経緯、本件犯行直前に「前みたいにボコボコにしてやる。」と告げられて胸倉をつかまれた状況から、急迫不正の侵害があったことや防衛の意思が認められることは争いがなかった。問題は、電源コードで首を絞めて動かなくなった被害者に対し、さらにネクタイで絞め付ける行為を行った点について、防衛行為の相当性を逸脱していないかである。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人の行為を過剰防衛(刑法36条2項)と認定し、法律上の減軽を適用した上で、被告人を懲役3年6月の実刑に処した。判決は、本件が強固な殺意に基づく犯行であると認定する一方、平成22年頃以降、被害者から肋骨を折られるなどの強度の暴行を数回受けていた事情からすれば、犯行直前の被害者の言動により激しい暴行を受けるとの恐怖を感じたことはやむを得ず、とっさに電源コードで首を絞めた行為には過去の暴行が関係しており、犯行に至る経緯には酌むべきものがあると評価した。 もっとも、裁判所は、被告人が身動きしない被害者を別の部屋に移動させた後、その場から逃げ出すことが可能であったにもかかわらず、被害者が目覚めた場合に激しい暴行を受けることを恐れ、被害者の死を確実なものにするためにネクタイでさらに首を絞め付けた点について、防衛行為の過剰の程度が大きく、過剰の程度が大きくなったことがやむを得なかったと評価することはできないとした。また、被害者の父親が事情を知らずに遺体移動を手伝わされ、現在も本件現場で暮らしていることから、父親の処罰感情が厳しいのは当然であるとした。 自首については、母親及び叔父に促されてのものであり、その評価は限定的であると判断された。被害者遺族への謝罪、前科前歴がないこと、母親と叔父による更生支援の見込みといった有利な事情、被害者1名に対する殺人事案としては比較的軽い部類に属すること、過剰防衛による法律上の減軽を行うべきことを総合考慮しても、執行猶予を付すべき事案とはいえず、主文の実刑は免れないと結論付けた。本判決は、長期的なDV被害を背景とする過剰防衛事案における量刑判断として、防衛行為開始時の心情に酌量の余地を認めつつも、相手が抵抗不能となった後の追撃行為に対しては厳格な評価を加えたものとして実務上意義がある。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。