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下級裁

強盗殺人被告事件

判決データ

事件番号
平成30う89
事件名
強盗殺人被告事件
裁判所
広島高等裁判所
裁判年月日
2019年1月24日
裁判種別・結果
破棄差戻
裁判官
多和田隆史杉本正則水落桃子
原審裁判所
鳥取地方裁判所

AI概要

【事案の概要】 本件は、ホテルの支配人が事務所で何者かに頭部を壁に打ち付けられ、頸部をひも様のもので絞め付けられて遷延性意識障害を伴う重傷を負い、約6年後に敗血症による多臓器不全で死亡した事件である。被告人は本件発生の約10日前まで同ホテルの店長として勤務していた者で、強盗殺人罪で起訴された。公訴事実の要旨は、被告人が平成21年9月29日午後9時40分頃、鳥取県米子市内のホテル事務所で金品を物色中に支配人に発見され、金品を強取しようと考えて同人に暴行を加えて現金約43万円を強取し、その結果同人を死亡させたというものである。 第1審である鳥取地裁は、被告人が犯人であると認めたものの、強盗目的は認定できないとして殺人罪と窃盗罪のみの成立を認め、懲役18年を言い渡した。被告人・検察官双方が控訴したが、広島高裁松江支部の第1次控訴審は、被告人の犯人性自体に事実誤認があるとして第1審判決を破棄し無罪を言い渡した。しかし最高裁第二小法廷は平成30年7月13日、第1次控訴審判決は情況証拠の総合評価という観点からの検討を欠き刑訴法382条の解釈適用を誤ったとしてこれを破棄し、事件を広島高裁に差し戻した。本判決は、その差戻後の控訴審判決である。 【争点】 争点は大きく二つある。第一に、被告人の犯人性。弁護人は、犯行現場である事務所は部外者にも判別可能であること、犯人の侵入経路に他の可能性があること、被告人が本件当日ホテル周辺にいた事実自体の不存在、被告人が振込入金した大量の千円札は自身の小遣い銭を両替したものであること、DNAが検出されていないことなどから、第1審判決の情況証拠による犯人性認定は不合理であると主張した。第二に、強盗殺人罪の成否。検察官は、夕食終了時刻は午後9時40分頃であり、被告人が事務所で金品を物色中に被害者と遭遇して居直り強盗に及んだものであるから強盗殺人罪が成立すべきであり、夕食終了時刻を午後9時26分頃と誤認した第1審判決は強盗殺人を認定しなかった点で事実誤認があると主張した。 【判旨(量刑)】 本判決はまず犯人性について、ホテルの構造や施錠状況、客室ドアの開閉記録、被告人が本件約12時間後に被害金と金額・金種が近似する230枚もの千円札をATMで入金した事実、事件後に妻や交際相手との連絡を絶ち警察の出頭要請を無視した逃走と評価できる行動等の間接事実を総合評価すれば、被告人以外の者が犯人である具体的可能性はないとして、犯人性を肯定した第1審判断に論理則・経験則上の不合理はないと判示した。 次に強盗殺人罪の成否について、夕食終了時刻に関し、休憩室のモニター時刻を見ていたとするE証言、救急隊員に対するDの説明、客室清掃の所要時間からの逆算という直接証拠と間接事実を総合すれば、終了時刻は午後9時40分頃(正確には午後9時39分頃)と認定すべきであると判示した。そのうえで、被告人は夕食中に事務所に侵入して金品を物色していたところ、夕食を終えて戻ってきた被害者に発見されたため、財物強取の意図に加え犯行発覚を恐れて口封じのためとっさに強固な殺意を形成し、本件犯行に及んだものと優に認められるとした。 結論として、夕食終了時刻の認定を誤って殺人と窃盗の認定にとどめた第1審判決には強盗殺人の成立を否定した点で判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認があるとして、原判決中有罪部分を破棄し、事件を鳥取地方裁判所に差し戻した。情況証拠の総合評価による事実認定の手法と、居直り強盗類型における強盗殺人罪の成立を示した事例として意義を有する。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。