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知財

損害賠償等請求事件

判決データ

事件番号
平成29ワ40121
事件名
損害賠償等請求事件
裁判所
東京地方裁判所
裁判年月日
2019年1月25日

AI概要

【事案の概要】 遠隔診療に従事する医師である原告が、スマートフォン向け遠隔診療アプリ「CLINICS」を提供する株式会社メドレー(被告)に対し、損害賠償等を求めた事案である。平成28年9月、日本経済新聞夕刊に遠隔診療の現状や利用法を紹介する記事が掲載され、その中で原告の医院における遠隔診療の実情が取り上げられるとともに、パソコンに向かう原告の横向き上半身を写した写真が「遠隔診療の流れ」のイメージとして掲載された。被告は、新聞発行元から記事利用の許諾を得た上で、同記事を中央に転載し、被告商標である「スマホ通院」の文字や本件アプリのロゴ「CLINICS by MEDLEY」を配したポスターを作成し、平成29年4月頃、本件アプリを既に導入している複数の医療機関に配布した。しかし、被告は原告本人からは写真等の使用許諾を得ていなかった。原告は、原告が遠隔診療の第一人者として広く認知されており、その氏名・医院名・写真には顧客吸引力があるとして、主位的にパブリシティ権侵害、予備的に肖像権侵害、さらに不正競争防止法2条1項1号の周知表示混同惹起行為に該当するとして、損害賠償合計600万円と配布先医療機関・ホームページへの謝罪文送付・掲載を求めた。 【争点】 (1)原告の氏名・医院名・肖像に顧客吸引力が認められ、パブリシティ権侵害が成立するか、(2)原告本人の承諾なく写真をポスターに転載した行為が肖像権侵害となるか、(3)原告の氏名等が需要者である医療機関の間で周知であり、本件ポスターへの掲載が不正競争防止法上の「使用」「混同惹起」に該当するか、が争われた。 【判旨】 東京地裁は、原告の請求をいずれも棄却した。パブリシティ権については、最高裁平成24年2月2日判決(ピンク・レディー事件)の基準を引用し、肖像等の有する顧客吸引力を専ら利用する目的といえる場合にのみ不法行為が成立するとした上で、原告が示した記事は原告医院が遠隔診療に積極的に取り組んでいることを紹介するにすぎず、他にも遠隔診療を提供する医師や医療機関が多数存在することからすれば、原告の氏名・医院名・肖像が医療機関向けサービスの販売を促進する顧客吸引力を有するとは認められないと判断した。肖像権侵害については、撮影・掲載の経緯、目的、態様、不利益の程度等を総合考慮し、社会生活上の受忍限度を超えるかで判断すべきとした上で、本件ポスターは新聞社の許諾を得て記事を出典付きで転載したものであり、原告自身が本件記事への掲載には承諾していたこと、写真の大きさ等に改変はなく、記事内容も原告の遠隔診療への取り組みを好意的に紹介するもので原告に不利益を及ぼすものではないことから、人格的利益の侵害が受忍限度を超えるとはいえないと認定した。不正競争防止法については、原告の表示が需要者たる医療機関の間で周知であるとは認められず、またポスター内の氏名・医院名は遠隔診療の紹介・説明の文脈で用いられ、肖像も遠隔診療の具体的イメージを示すためのものであって、被告アプリの出所表示として使用されてはいないとし、さらに「CLINICS by MEDLEY」の記載によりアプリの提供主体が被告であることは明らかで、原告との緊密な営業関係を誤信させる事情もないことから、「使用」にも「混同のおそれ」にも該当しないと判示した。新聞記事を第三者が転載・紹介する際の肖像使用をめぐる本件判断は、パブリシティ権の成立要件を「顧客吸引力」の有無から厳格に審査する姿勢を示した裁判例として、広告・マーケティング実務にも一定の示唆を与えるものである。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。