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下級裁

損害賠償等請求事件

判決データ

事件番号
平成27ワ6338
事件名
損害賠償等請求事件
裁判所
大阪地方裁判所
裁判年月日
2019年1月29日
裁判官
酒井良介安川秀方前田早織

AI概要

【事案の概要】 本件は、第二次世界大戦中に中国から日本へ強制的に連行され、日本各地の事業場で強制労働に従事させられたと主張する中国人被害者ら、又はその権利を相続により承継した遺族らが、被告(日本国)に対して提起した損害賠償等請求事件である。原告らは、日中戦争が長期化し労働力不足に陥った日本政府が、昭和17年(1942年)11月の閣議決定及び昭和19年(1944年)2月の次官会議決定に基づき、華北労工協会等を通じて合計約3万8900名の中国人労働者を日本へ移入し、全国135の事業場で鉱山業、土木建築業、港湾荷役業等の過酷な労働に従事させたという歴史的事実を主張した。原告らは、現地において自由意思に基づかない「行政供出」や元俘虜の「訓練生供出」の形で集められ、石門臨時俘虜収容所等で思想教育を受けた後、船倉での劣悪な輸送を経て日本に到着し、衣食住を厳しく制約された環境の下で官憲の監視下に置かれたまま重労働を強いられ、多数が死亡した。原告らは、①ヘーグ陸戦条約3条、②中華民国民法又は日本国民法上の不法行為、③国家賠償法を根拠に、慰謝料及び弁護士費用の支払並びに謝罪文の交付・新聞への謝罪広告の掲載を求めた。 【争点】 主要な争点は、(1)強制連行・強制労働の事実の有無、(2)ヘーグ陸戦条約に基づく責任の成否、(3)不法行為責任(中華民国民法・日本国民法)の成否、(4)国家賠償法に基づく責任の成否、(5)国家無答責の法理の適否、(6)除斥期間による請求権消滅の成否、そして(7)日中共同声明5項に基づく請求権放棄の抗弁の成否であった。特に、日中共同声明5項が個人の請求権の裁判上の訴求権能を失わせる効力を有するかどうかが中心的な争点となった。 【判旨】 大阪地裁は、原告らの請求をいずれも棄却した。裁判所はまず、中国人労働者が華北労工協会を中心に日本現地軍も関与して強制的又は真意に基づかずに日本に移入され、劣悪な環境で重労働に従事させられたという事実を認め、これら一連の行為は「日本国政府の国策として政府関係機関の全面的関与の下で行われた」と明確に認定した。しかしながら、これら日中戦争の遂行中に生じた請求権については、日中共同声明5項に基づく請求権放棄の抗弁により裁判上訴求する権能が失われているとして、その余の争点について判断するまでもなく請求は理由がないと判示した。裁判所は、サン・フランシスコ平和条約が個人の請求権を含め戦争遂行中に生じた全ての請求権を相互に放棄することを前提とした戦後処理の枠組みを定めたものであり、昭和47年(1972年)の日中共同声明も同枠組みに従う平和条約の実質を有するとの最高裁平成19年判決の枠組みを踏襲した。その上で、日中共同声明5項にいう請求権の「放棄」とは、請求権を実体的に消滅させるものではなく、裁判上訴求する権能を失わせることを意味するにとどまるため、債務者側による任意・自発的な対応は妨げられないと付言した。また、戦後の処遇改善義務違反、早期送還義務違反、書類焼却・外務省報告書の隠蔽、国会答弁による名誉毀損等についての主張もいずれも退けた。判決は結語において「中国人労働者は、強制的又は真意に基づくことなく移入されたものであり、労働環境や処遇は大変劣悪なものであったといわざるを得ない」と述べつつ、法的観点からは請求を認められないとの結論を示しており、歴史的事実の認定と法的結論との間に明確な区別を置いた判断となっている。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。