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知財

不正競争行為差止等請求事件

判決データ

事件番号
平成29ワ9834
事件名
不正競争行為差止等請求事件
裁判所
大阪地方裁判所
裁判年月日
2019年1月31日
裁判官
谷有恒野上誠一島村陽子

AI概要

【事案の概要】 本件は、油圧式杭圧入引抜機の製造販売を行う原告(株式会社コーワン)が、同業の被告(株式会社技研製作所)に対し、被告がそのウェブサイト上に掲載した文章が虚偽の事実を流布するものであり、原告の営業上の信用を毀損するとして、不正競争防止法2条1項15号、3条1項、4条、14条に基づき、当該文章の表示差止め、謝罪広告の掲載、及び損害賠償1000万円の支払を求めた事案である。 被告代表者は、昭和50年に「サイレントパイラー」と名付けた油圧式杭圧入引抜機の試作1号機を完成させ、昭和53年に被告会社を設立して製造販売を開始した。サイレントパイラーは、複数の既設杭の引抜抵抗を反力として、無振動・無騒音で新設杭を圧入するという原理を採用する建設機械である。一方、原告の前身である土佐機械工業は、当初サイレントパイラーの部品製造を下請けしていたが、昭和58年頃から同じ圧入原理を用いた油圧式杭圧入引抜機の製造販売を独自に開始し、平成17年に原告が事業を承継した。両社の間には昭和58年以来、特許権を巡る紛争が継続しており、平成29年時点で高知県内で油圧式杭圧入引抜機を製造販売しているのは原告と被告のみという状況にあった。 被告は平成29年1月から、自社ウェブサイトに被告グループ創業50周年記念サイトを開設し、その中で被告代表者の自伝を50回連載した。その第27回・第28回において、被告は原告を指すと受け取られる形で「当社の下請けで加工を任せていた高知の小さな会社がサイレントパイラーのコピー機をつくって売り始めた」「この会社は平然とコピー機を製造している」「業界の小さな“鬼っ子”」「当社の機械のコピー機をせっせとつくっている件の会社に引き抜かれた」等と記載した。原告はこれらの記載が自社製品を特許侵害品あるいは違法な模倣品と印象付け、また被告従業員を不当に引き抜いたかのような印象を与えるものであるとして本件訴訟を提起した。 【争点】 主な争点は、被告ウェブサイト上の各掲載文が原告の営業上の信用を害する虚偽の事実に当たるか、差止め及び謝罪広告掲載の必要性が認められるか、そして損害の有無・額である。被告は、自伝という性質上主観的評価を含む表現にすぎず、対象も原告と特定されないこと、「件の会社」は中央自動車興業を指すものであることなどを主張して争った。 【判旨】 大阪地裁は、本件ウェブページの閲覧者の中心が被告関係者や圧入業界の者であること、同業界において原告・被告間の特許紛争の継続や高知県内で油圧式杭圧入引抜機を製造するのが両社のみであることは周知であったことなどから、各掲載文が原告を指すものと容易に理解されると認定した。「件の会社」の解釈についても、直前の第27回で言及された「高知の小さな会社」を受けた表現であり、本件連載中で先に言及されていない中央自動車興業と解する余地はないとした。 「コピー機」という表現については、権利者の許諾なく著作物等を複製する場合に権利侵害が成立する一般的な文脈に照らせば、相手方製品のコピーと表現できるのは外観・構造が同一ないし区別困難に類似する場合か、特許権侵害が肯定される場合に限られると解した上で、原告製品が採用する圧入原理はサイレントパイラー開発以前から公知であったこと、被告の特許出願は拒絶査定が確定していること、原告らの特許侵害を基礎づける主張立証がないことからすれば、原告製品を「コピー機」と記載したことは虚偽の事実に当たり、競争関係にある原告の営業上の信用を害する行為であると判断した。また「引き抜かれた」との記載についても、退職従業員が土佐機械工業に転職した事実や違法・不当な働きかけの事実は認められず、虚偽の事実の告知に当たるとした。 差止請求については、被告代表者が尋問で掲載文の内容自体に問題がないとの認識を示し、圧入原理を利用する油圧式杭圧入引抜機はすべて「コピー」だと述べたこと、本件連載は社内報の再掲で別の機会に再掲載される可能性もあることから、掲載文1ないし3に限り差止めの必要性を認めた。他方、謝罪広告の掲載は内容・態様等に照らし必要性を認めるに足りず、損害についても具体的主張立証がないとして、これらの請求は棄却した。 本判決は、同業他社の製品を自伝という体裁の中で「コピー機」と表現する行為について、特許侵害が認められない以上は不正競争防止法上の虚偽事実の告知に該当し得ることを明示した点で、営業誹謗規制の実務上重要な先例であり、企業の広報・歴史記述においても競合他社に関する記述には客観的裏付けが必要であることを示す意義を有する。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。