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下級裁

損害賠償請求控訴事件

判決データ

事件番号
平成30ネ453
事件名
損害賠償請求控訴事件
裁判所
名古屋高等裁判所
裁判年月日
2019年1月31日
裁判官
永野圧彦田邊浩典大久保香織
原審裁判所
名古屋地方裁判所

AI概要

【事案の概要】 本件は,離婚紛争中の元夫である1審原告が,元妻である1審被告Aと,同女が住民基本台帳事務における支援措置の申出をした際に「相談機関等の意見」欄に支援措置の要件を満たす旨を記載した愛知県警察署に対し,330万円の連帯支払を求めた損害賠償請求控訴事件である。 1審原告と1審被告Aは平成18年に婚姻し,平成19年に長女Bが生まれたが,平成24年12月,1審被告AはBを連れて別居を開始した。別居後,両者の間では離婚,親権・監護権,面会交流,間接強制など多数の法的手続が係属し,紛争が長期化した。平成26年3月の面会交流審判により月1回の面会交流と学校行事参加が認められたが,1審原告が授業参観で泣いているBをスマートフォンで執拗に撮影するなどの行動を取ったことから,Bは次第に1審原告に対する不安感・忌避感を強め,平成28年1月の授業参観後には錯乱状態となり,ほとんど登校できなくなった。 こうした中,1審被告Aは平成28年3月31日,愛知県D警察署を訪問し,同署員の勧めに応じて,配偶者からの暴力防止法(DV防止法)に基づく援助申出と支援措置申出を行った。D署長は当該申出書に「上記申出者の状況に相違ないものと認める」旨の意見(本件意見)を付し,これを受けたC市長は支援措置を決定した。その結果,1審原告は住民票等の閲覧や転校先の把握ができなくなった。 原審は,1審被告Aは危険性要件を欠くと認識しながら面会交流阻止の目的外利用をしたとして不法行為を認め,またD署長に調査義務懈怠があるとして,各55万円の連帯支払を命じた。これに対し双方が控訴した。 【争点】 第1に,1審被告Aが支援措置の被害者要件および危険性要件を満たしていたか,面会交流妨害の目的でこれを濫用したかが争われた。第2に,警察署長が支援措置申出書に意見を付すに当たり,加害者とされる者に対して事情聴取や司法判断の確認等の職務上の法的義務を負うか,その義務違反が国家賠償法上違法となるかが争われた。 【判旨】 名古屋高等裁判所は,原判決中1審被告ら敗訴部分を取り消し,1審原告の請求をいずれも棄却した。 まず1審被告Aの責任について,同女が同居中に1審原告から身体的暴力等を受けた旨の相談を愛知県女性相談センターやD署にしていた事実に照らし,被害者要件を欠いていたとは認められないとした。危険性要件についても,DV防止法1条1項の「配偶者からの暴力」には身体的暴力に準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動が含まれ,本件支援措置申出当時,Bの監護および面会交流をめぐり激しい紛争状態にあり,1審原告の学校訪問等の行動によりBは入院を要する状態となるなど心身への悪影響が認められたことから,1審原告からの言動により生命身体に危害を受けるおそれがなかったとまではいえないと判断した。 また,面会交流は子の利益を最優先に考慮すべきものであり(民法766条),監護親が子の福祉を害すると考えて実現を妨げても直ちに不当とはいえないところ,1審被告Aの本件支援措置申出の動機は,学校でのBの錯乱状態からB自身および自らの心身を守ることにあったと認められ,面会交流妨害の目的で行ったとは認められないとした。 次に1審被告愛知県の責任について,住民基本台帳法および住民基本台帳事務処理要領に基づく支援措置は,DV防止法の趣旨に沿って被害者の住所探索を防止し被害者保護を図ることを目的とするものであり,専ら被害者に対する関係での警察署等の行為規範を定めたものであって,加害者とされる配偶者に対して職務上の法的義務を負うことは想定していないと判示した。同事務処理要領や警察庁通達も,警察署等に加害者側の言い分聴取や調査を求めておらず,かえって被害者と認められることをもって危険性要件を認定して差し支えないとしていることから,D署長が本件意見を付すに当たり,1審原告の言い分や面会交流審判を確認する職務上の法的義務はなかったと結論づけた。 本判決は,DV防止法および支援措置制度の趣旨を被害者保護の一点に求め,加害者とされる配偶者の手続的権利を否定的に解した点に特徴がある。一方で,被害者の主張に明らかに不自然で疑問を持つべき点があった場合には法的責任が生じる余地を残しており,運用の限界も示唆している。面会交流と配偶者間DV支援措置の交錯領域における実務指針として重要な先例となる判決である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。