入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反,事後収賄
判決データ
- 事件番号
- 平成30わ255
- 事件名
- 入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反,事後収賄
- 裁判所
- 奈良地方裁判所
- 裁判年月日
- 2019年2月1日
- 裁判官
- 重田純子
AI概要
【事案の概要】 被告人は、奈良県a市の副市長として在職し、同市が発注する公共工事の入札における総合評価審査委員長を兼ねていた者である。被告人は、懇意にしていたL株式会社関係者Bらから、同市が総合評価落札方式で行う公共工事の入札において同社が落札できるよう取り計らってほしいと依頼された。そこで被告人は、入札公告日よりも前の段階で、落札者決定基準など極めて機密性の高い入札関連情報を同社担当者に漏えいし、さらに市の担当職員らに指示を与えて、技術提案書の技術評価点を恣意的に操作させるなどの方法を用い、2件の入札においていずれも同社に落札させた。 その後被告人は副市長を辞職したが、辞職後に、前記Bから、在職中に同社を落札させた取り計らいに対する謝礼等として現金200万円を受領した。 本件は、これらの一連の行為が、入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律(いわゆる官製談合防止法)8条違反(職員による入札等の公正を害すべき行為)並びに刑法197条の3第3項の事後収賄罪に当たるとして起訴された事案である。官製談合防止法8条は、公共工事の発注に関与する職員が、職務に関し、特定の者に落札させる目的で、入札情報の漏えいや意思決定の操作等により入札の公正を害する行為をすることを処罰する規定であり、事後収賄罪は、公務員が在職中の職務に関して不正行為をしたことに関し、退職後に賄賂を受領する行為を処罰するものである。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人を懲役2年6月に処し、4年間刑の執行を猶予するとともに、受領した賄賂200万円は既に費消されるなどして没収することができないとして、同額を被告人から追徴する旨言い渡した。 量刑の理由として、裁判所は次のように判示した。被告人は、副市長という市政の要職にあり、かつ入札の公正を厳守すべき立場である総合評価審査委員長を兼ねていたにもかかわらず、その立場を悪用して、公告前に機密情報を業者側に漏えいし、さらに担当職員に指示して技術評価点を恣意的に操作するなど、手の込んだ方法により2件の入札において特定業者に落札させた。その結果、入札結果に重大な影響を及ぼし、公共工事の入札の公正を著しく害したものであって、悪質性は高い。加えて、辞職後に、被告人側から要求したものではないとはいえ、関係業者から謝礼として200万円という高額の賄賂を受領しており、公務の公正に対する社会の信頼を大きく損なう行為であるとして、刑事責任は重いと評価した。 他方で、被告人が各犯行を認めて反省の弁を述べていること、既に公務から離れており再犯のおそれが低いこと、前科前歴がないこと、妻が今後の監督を誓約していることなどの事情を考慮し、社会内での更生の機会を与えるのが相当であるとして、主文のとおり執行を猶予した。本件は、官製談合防止法違反と事後収賄罪が併合して問擬された事例として、地方自治体幹部による入札関与と退職後の利得収受に対する量刑判断を示したものとして実務上意義を有する。