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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ケ10048
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年2月6日
裁判官
高部眞規子杉浦正樹片瀬亮

AI概要

【事案の概要】 本件は、「美容器」(回転体を身体上で転動させることで美肌効果等を付与するローラー式美容器具)に関する特許(特許第5847904号)について、原告が無効審判を請求したところ、特許庁が「請求は成り立たない」との審決をしたため、原告がその取消しを求めた事件である。 本件特許の発明は、ハンドルに抜け止め固定された支持軸と、その先端側に回転可能に支持された回転体とを備え、回転体は基端側にのみ穴を有する非貫通状態で支持軸に軸受け部材を介して支持されること、軸受け部材から弾性変形可能な係止爪が突き出し、回転体内周の段差部と係合する構造を特徴とする。これにより、片側のみに穴があり反対側は塞がれている回転体を、支持軸に対し確実に回転可能に保持できる点に技術的特徴がある。 原告は、特許庁に対し、①本件明細書の記載は実施可能要件・サポート要件を満たさない、②引用発明1(ゲルマニウム粒子を備えた美顔用マッサージ器に関する公開公報記載の発明)及び甲2から甲20の各文献に記載された軸受け構造を組み合わせれば当業者が容易に想到できたものであり進歩性を欠く、と主張した。しかし特許庁は、係止爪を弾性変形させるためのクリアランスを設けることは技術常識であり明細書の記載から当業者が実施可能であること、引用発明1は2個のベアリングで回転体を支持する構造であり1個の軸受け部材に置き換える動機付けがないことなどを理由に、無効審判請求を退ける審決をした。 【争点】 主たる争点は、①本件明細書が実施可能要件・サポート要件に適合するか、②引用発明1のベアリング12及びL型ベアリング13の2部材構成を、甲5から甲18等に記載された弾性係止爪付き軸受け部材に置き換えることが当業者にとって容易想到であったか、③特に引用発明1の「軸受け部材」に相当するのはL型ベアリング13のみか、それともベアリング12とL型ベアリング13の双方かの解釈である。 【判旨】 知的財産高等裁判所第1部(高部眞規子裁判長)は、原告の請求を棄却した。 まず実施可能要件については、本件明細書の段落【0015】及び図4・図8の記載から、係止爪が弾性変形する際のクリアランスが存在すること、係止爪が軸受け部材の先端側を付け根として内周方向に曲がるよう変形して段差部を乗り越える構造が当業者に理解できるとし、明細書の記載は実施可能要件を満たすと判断した。サポート要件についても同様の理由で、当業者は特許請求の範囲記載の構成により本件発明の課題を解決できると認識できるとした。 進歩性判断においては、引用発明1がベアリング12とL型ベアリング13の2部材で回転体を支持する構成であり、引用例1にはこれを1つの軸受け部材に置き換えることを示唆する記載がないこと、また仮に1個に置き換えた場合、顔面との接触で長手方向と直交する方向に荷重がかかるローラーを根元のみで支えることとなって安定した回転が困難となることから、置き換えの動機付けがなく、むしろ阻害要因が存するとした。さらに甲5から甲18の各文献に記載された軸受け部材はいずれも固定された板状体又はこれに固定された部材に装着するものであって、非貫通状態の回転体に装着するものではなく、甲19・甲20の技術も本件発明のような支持軸上の軸受け部材として機能するものではないとして、相違点3に係る本件発明1の構成を当業者が容易に想到できたとはいえないと結論付けた。よって、本件審決の判断に誤りはないとして、原告の請求を棄却した。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。