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下級裁

運輸安全委員会設置法違反,鉄道事業法違反被告事件

判決データ

事件番号
平成28ろ13
事件名
運輸安全委員会設置法違反,鉄道事業法違反被告事件
裁判所
札幌簡易裁判所
裁判年月日
2019年2月6日

AI概要

【事案の概要】 本件は、北海道内で旅客鉄道事業等を営む被告会社及びその本社保線課の幹部職員3名(被告人b、同c、同d)が、平成25年9月19日にx線y駅構内で発生した貨物列車脱線事故をめぐり、事故原因の調査にあたる運輸安全委員会および監督官庁である国土交通省に対して虚偽報告を行い、さらに保安監査を忌避したとして、運輸安全委員会設置法違反および鉄道事業法違反の罪で起訴された事案である。 脱線事故発生の翌日、運輸安全委員会の鉄道事故調査官から軌道変位検査の結果を報告するよう求められた際、被告会社z支社z保線所長らが現業機関において、軌道狂い検査表のうち、脱線箇所付近の通り変位(レール側面の左右のずれ)の数値を「-75」から「-42」へと書き換えるなどの改ざんを行ったうえ、同検査表を事故調査官に提出させた。その後、国土交通省鉄道局長から鉄道事業法55条1項に基づき整備基準値超過箇所の報告を求められた際にも、同様に改ざんされた数値を記載した整理表データを電子メールで送信させた。さらに、保安監査が実施されることを知るや、別の軌道狂い検査表の数値を「14」から「4」へ書き換えるなどした内容虚偽の検査表を出力して備え置き、監査員に提出するなどして検査を忌避した。 検察官は、保線現場の所長らが改ざん行為の実行者であることを前提に、本社保線課の幹部である被告人b、同c、同dもこれを黙示的に共謀したものとして起訴した。被告会社については、従業員の違反行為に関する両罰規定により刑事責任を問うた。 【争点】 被告会社側は、公訴事実第1の1(保線現場の従業員e1らの共謀による虚偽報告)、同第1の2のうち保線所長らの共謀部分、第2および第3の各行為自体については争っていないため、これらを前提とした被告会社の刑事責任は認められる。 争点となったのは、本社保線課の幹部である被告人ら3名が、現場職員による通り変位数値の改ざんを少なくとも未必的に認識・認容していたか、そして保線所長らとの間に黙示の順次共謀が成立するか(公訴事実第1の2および第2)である。 検察官は、被告人らが保線業務に精通しており、改ざん前後の検査表を見ればその数値変化が客観的に不合理であると容易に気付いたはずであること、被告会社では過去にインシデントで批判を受けており改ざんを黙認する動機があったこと、保線現場に数値改ざんを許容する雰囲気が広く醸成されていたことなどから、被告人らの未必的故意と黙示の共謀は認定できると主張した。 これに対し弁護人らは、被告人らは改ざん前の検査表に訂正すべき誤りがあると認識し、改ざん後の検査表はその誤りが訂正されたものと理解したにすぎないこと、事故原因の調査において通り変位の数値自体にさして関心を抱いていなかったこと、改ざんを黙認する動機はなく、許容する雰囲気も存在しなかったことを指摘し、さらに被告人らが改ざんを認識していたのであれば合理的に説明できない事実(後日運輸安全委員会に提出される0.5メートルピッチの詳細検査表について数値を合わせる指示等がなかったこと、被告人cが改ざん後の数値を反映していない暫定版整理表を国土交通省に提出していること等)が多数存在すると反論した。 【判旨(量刑)】 札幌簡易裁判所は、被告人b、同c、同dの3名についていずれも無罪を言い渡し、被告会社を罰金100万円に処した。 個人被告人らについては、改ざん後の「-42」という数値であっても脱線の可能性が大きいことに変わりはなく、「-75」の場合と比べて非難回避という点で大きな差異があるとはいえないため、検察官主張の動機そのものに疑問があること、被告会社本社において現業機関でのデータ書換えが許容されていたと認めるに足りる的確な証拠がないこと、被告人らが改ざんを認識していたとすれば0.5メートルピッチ検査表への関心を欠いた対応や暫定版整理表の提出など合理的な説明が困難な客観的事実が複数存在することなどを総合的に検討し、改ざんの認識を有していたことについて合理的な疑いが残るとして、刑事訴訟法336条により無罪を言い渡した。 他方、被告会社については、鉄道事故の原因究明や再発防止策を講じるうえで極めて重要な客観的データをパソコンで恣意的に書き換え、正規のデータを装って調査官庁に提出し、事故原因の調査等を著しく妨害したものであって、犯行は悪質といわざるを得ず、民間企業が事故発生に伴って官庁等に虚偽報告をした事案の中でも犯情はかなり悪いと評価した。従業員を管理監督すべき立場にありながら保線所長を含む多数の従業員が複数回にわたり虚偽報告や検査忌避に関与するに至らしめた責任は重く、全社を挙げて再発防止に取り組んでいる事情を考慮しても、社会的影響に鑑みて相応の罰金刑が必要であるとして、主文の罰金100万円を相当と判断した。 本件は、組織の上位者の故意認定においては個々人の具体的な認識に関する客観的事実を丁寧に吟味する必要があること、他方で両罰規定により法人には重い制裁が科され得ることを示した実例として、実務上参考になる事案である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。