更正すべき理由がない旨の通知処分取消請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 酒類製造者である原告(サッポロビール株式会社)が製造・販売する発泡性酒類(商品名「極ZERO」。以下「本件製品」)の酒税適用税率をめぐる税務訴訟である。原告は、平成25年3月から平成26年4月にかけて本件各工場(北海道・仙台・千葉・静岡・九州の5工場)から移出した本件製品について、当初は酒税法23条2項3号ロ(発泡酒にスピリッツを加えたもの)に該当するとして1キロリットル当たり8万円の税率で納税申告をした。しかし国税庁課税部酒税課から本件製品の製造方法について情報提供の要請を受けた後、納得を得られず、平成26年6月に同法23条1項1号の発泡性酒類(1キロリットル当たり22万円)に該当するとして修正申告を行った。その後、原告は平成27年1月、改めて本件製品は当初申告どおり同法23条2項3号ロに該当するとして、所轄の5税務署長に対し各更正の請求を行ったが、各税務署長は同年4月、更正をすべき理由がない旨の本件各処分を行った。原告はこれを不服として異議申立て・審査請求を経て本訴を提起し、本件各処分の取消しを求めた。争点の中心は、本件製品のベースとなる「極ZEROベース発泡酒」が、酒税法施行令20条2項にいう「麦芽及びホップを原料の一部として発酵させたもの」(政令で定める発泡酒)に該当するか否かである。 【争点】 主たる争点は、(1)酒税法施行令20条2項にいう「発酵」の意義、(2)極ZEROベース発泡酒が同項に定める発泡酒に該当するか、(3)本件各処分の通知書における理由の提示が行政手続法8条1項本文を満たすか、の3点である。 【判旨】 裁判所はまず、酒税法施行令20条2項にいう「発酵」とはアルコール発酵一般を意味し、同項に定める発泡酒とは、当該発泡酒の全ての原料が投入された後のものについてアルコール発酵をさせたものをいうと解するのが相当であるとした。その上で、極ZEROベース発泡酒については、全ての原料が投入された後のものについてアルコール発酵があったとは認められないから、同項に定める発泡酒には該当しないと判断した。したがって、本件製品は酒税法23条2項3号ロの「発泡酒(政令で定めるものに限る。)にスピリッツ(政令で定めるものに限る。)を加えたもの」に該当せず、同号の「その他の発泡性酒類」にも該当しないから、これと同旨の本件各処分の認定判断に違法はないとした。また、理由の提示の違法については、本件各処分の通知書は、処分の根拠法令及びその解釈と処分の原因となった事実関係を明らかにしており、行政手続法8条1項本文の要求する理由の提示として不備があるとはいえないとした。結論として、裁判所は本件各処分はいずれも適法であるとして原告の請求をいずれも棄却した。本判決は、酒類課税における製造方法に着目した税率区分の解釈を示すとともに、発泡酒類の製造工程における「発酵」概念の射程を明確にした点で実務的意義を有する。